「トルリシティ」が幅広い2型糖尿病患者の主要心血管イベントを有意に減少 REWIND試験

 イーライリリー・アンド・カンパニーは、週1回投与のGLP-1受容体作動薬「トルリシティ(一般名:デュラグルチド)」の心血管アウトカム試験である「REWIND」試験の結果を発表した。詳細は、第79回米国糖尿病学会学術集会で発表され、「Lancet」に掲載された。
週1回投与のトルリシティが血糖コントロールと心血管リスクを長期的に改善
 「REWIND」試験はGLP-1受容体作動薬の心血管アウトカム試験としては最長(中央値5.4年)の、心血管疾患の既往がない患者を主体とした試験。2型糖尿病成人患者9,901例を対象に、3ポイントMACEの発現リスクに対する影響を、標準治療に追加したトルリシティ1.5mgとプラセボで比較した。

 同試験の主要評価項目はMACE(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中から成る複合評価項目)の初発。副次評価項目は、主要評価項目を構成する各要素、網膜症または腎症から成る複合臨床微小血管障害、不安定狭心症による入院、心不全による入院または緊急来院、および原因を問わない死亡。

 その結果、主要心血管イベント(MACE)の発現率が12%有意に低下し、心血管疾患の既往の有無に関わらず3ポイントMACEの低下が示され、心血管リスクの低下は試験期間を通じて維持された。

 同試験は、これまでの心血管アウトカム試験と比較し、日常診療でみられている2型糖尿病患者により近い集団で検討されている。参加者全員が心血管リスク因子を有していたが、心血管疾患の既往がある参加者は31%のみだった。さらに同試験では、ベースラインHbA1cがこれまでの糖尿病心血管アウトカム試験の中で最も低いレベル(中央値7.2%)であり、男女比もバランスがとれていた(女性46.3%、男性53.7%)。

 試験全体でトルリシティが示したリスク低下(ハザード比:0.88、95%信頼区間:0.79-0.99)は下記のサブグループにおいても示された。
・ 心血管疾患の既往歴あり:ハザード比:0.87、95%信頼区間:0.74-1.02
・ 心血管疾患の既往歴なし:ハザード比:0.87、95%信頼区間:0.74-1.02
・ ベースラインHbA1cが7.2%またはそれ以上:ハザード比:0.86、95%信頼区間:0.74-1.00
・ ベースラインHbA1cが7.2%未満:ハザード比:0.90、95%信頼区間:0.76-1.06
・ 女性:ハザード比:0.85、95%信頼区間:0.71-1.02
・ 男性:ハザード比:0.90、95%信頼区間:0.79-1.04

 トルリシティによる3ポイントMACEの有意な減少には下記3つの要素全てが寄与していた。
・ 心血管死(ハザード比:0.91、95%信頼区間:0.78-1.06)
・ 非致死性心筋梗塞(ハザード比:0.96、95%信頼区間:0.79-1.16)
・ 非致死性脳卒中(ハザード比:0.76、95%信頼区間:0.61-0.95)

 さらにトルリシティは、微小血管アウトカム、特に腎アウトカムを改善させた(ハザード比:0.87、95%信頼区間:0.79-0.95)。腎アウトカムの分析結果は、長期的なトルリシティの使用が2型糖尿病患者における腎疾患の進行抑制に関連していることを示唆している。

 心血管アウトカムを評価した長期追跡の結果に加え、同試験では糖尿病治療におけるトルリシティの有効性を裏付けるエビデンスが示された。トルリシティはプラセボと比較し、中央値7.2%のHbA1cをベースラインから低下させた(HbA1c:-0.46%(トルリシティ)、+0.16%(プラセボ)、体重:-2.95kg(トルリシティ)、-1.49kg(プラセボ))。

 トルリシティの安全性プロファイルは他のGLP-1受容体作動薬と一致した。トルリシティの投与中止に至った有害事象で最もよくみられたものは胃腸障害だった。

 同試験のチェアであり、マクマスター大学 教授およびハミルトン・ヘルス・サイエンシズ公衆衛生研究所副所長であるハーツェル ガーシュタイン氏は「REWIND試験は幅広い患者の治療にデュラグルチドを追加することによる恩恵を示唆している」と述べている。

 なお、デュラグルチドの適応症は2型糖尿病であり、日本におけるデュラグルチドの承認用量は0.75mg週1回投与のため、同試験の内容は承認用量外となる。

Dulaglutide and cardiovascular outcomes in type 2 diabetes (REWIND): a double-blind, randomised placebo-controlled trial(The Lancet 2019年6月9日)

トルリシティ皮下注0.75mgアテオス 添付文書
[Terahata]

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編集部注:
  • 海外での研究を扱ったニュース記事には、国内での承認内容とは異なる薬剤の成績が含まれています。
  • 2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で表わすようになりました。過去の記事は、この変更に未対応の部分があります。ご留意ください。
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