腎機能障害が2型糖尿病リスクを上昇させる 腎疾患と糖尿病の相互関係を解明

 腎機能の障害が2型糖尿病のリスクを増すことが、セントルイス・ワシントン大学医学部の研究で明らかになった。糖尿病が腎症の危険因子であることはよく知られているが、その逆のことが起こりうるという。研究成果は「Kidney International」に掲載された。
血中尿素窒素(BUN)値が高いと糖尿病リスクは上昇
 研究チームは、腎疾患と糖尿病の相互関係の要因は血中尿素窒素(BUN)だと推定している。BUNは、食品の含まれるタンパク質の影響を受け、通常は腎臓で除去されるが、腎機能が低下すると血中に蓄積する。

 「糖尿病が腎症の原疾患であることは長い間認知されているが、今回の研究では、腎疾患が尿素レベルを高め、2型糖尿病のリスクを上昇させることが示された。腎機能不全のために血中に尿素が堆積すると、インスリン抵抗性とインスリン分泌不全がしばしば引き起こされる」と、セントルイス・ワシントン大学薬学部准教授のZiyad Al-Aly氏は言う。

 腎疾患と糖尿病の関連を検証するため、研究チームはセントルイス退役軍人臨床疫学センターと協力して、退役軍人(VA)データベースで医療記録を解析。ベースラインで糖尿病を発症していなかった133万7,452人の成人の5年間の記録を検討した。研究は2003年に開始された。

 血中の尿素窒素量を測定し、糖尿病を発症していなかった約11万7,000例(9%)でBUN値が上昇し、腎機能が低下していることを確認した。

 対象者を血中BUN値で25mg/dL以下(BUN低値)と25mg/dL超(BUN高値)に分けて糖尿病リスクを比較したところ、BUNが低値の場合には推算糸球体濾過量(eGFR)と糖尿病発症リスクとの間に関連はみられなかったが、BUNが高値の場合にはeGFRが60mL/分/1.73m²以上でも低値の場合と比べて糖尿病リスクは1.27倍に上昇した。

 また、eGFRを連続変数に加えて解析した結果、BUNが低値の場合に比べてBUNが高値の場合には糖尿病リスクは1.23倍だった。BUN値の上昇はeGFR値とは独立して糖尿病リスクに影響を及ぼし、BUN値が10mg/dL上昇するごとに糖尿病リスクは1.15倍になった。

 研究の各年において10万人当たりの糖尿病発症数は、BUN値が低い群で2,989例だったの対し、高い群では3,677例であり、高尿素により688例が増加したことが示された。
薬物療法やタンパク制限などでBUN値を下げれば2型糖尿病を抑制できる可能性
 「Journal of Clinical Investigation」に2016年8月に掲載されたカナダのモントリオール大学病院リサーチセンターによる論文では、腎不全を誘発したマウスでBUN値が上昇し、インスリン抵抗性とインスリン分泌不全が認められたことが報告されている。

 「今回の研究で、ヒトにおいても尿素レベルと糖尿病リスクの関連があることが確認された。期間中、尿素レベルが高い被験者の比率は約9%と一定していた。この結果は一般集団にも反映できる可能性がある」と、Al-Aly氏は言う。

 薬物療法やタンパク制限などの食事療法によりBUN値を低下させれば、2型糖尿病を抑制できる可能性があり、今回の所見は有益だと指摘している。

Kidney disease increases risk of diabetes, study shows(セントルイス・ワシントン大学 2017年12月11日)
Higher blood urea nitrogen is associated with increased risk of incident diabetes mellitus(Kidney International 2018年3月)
[Terahata]

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