「下肢静脈瘤」の認知度は低い 受診放置で高まるリスク 悪化すると潰瘍に進行することも

2018.06.20
 加齢に伴い増えていく「下肢静脈瘤」は、放置していると徐々に重症化し、生活の質(QOL)を著しく落とすことになる。「下肢静脈瘤」に対する日本人の認知度は低く、とくに30~40歳代女性では症状を有していても病院での受診率は低いことが、4万人を対象とした調査で明らかになった。

「下肢静脈瘤」が自然に治ることはない

 「下肢静脈瘤」は、足の静脈にある弁の機能が何らかの原因で低下し、血液が逆流し、うっ滞(血流などが静脈内などに停滞した状態)する病気だ。

 次第に進行し、足の表面に血管が浮き出て蛇行する、皮膚がただれ変色する、潰瘍ができる、さらには歩行に困難をきたすこともある。加齢とともに発症率が上がり、日本での患者数は今後増加するであろうと予測されている。

 下肢静脈瘤は女性に多く、歳を重ねるほど増えていく。遺伝性があり、両親とも下肢静脈瘤の場合には将来的にはその子供も90%発症するというデータもある。妊娠時にはホルモンの影響により静脈が柔らかくなって弁が壊れやすくなるため発症しやすくなる。

 また、立ち仕事、特に1ヵ所に立ってあまり動かない仕事に従事する人は発症しやすく、特に1日10時間以上立っている人は重症化しやすい傾向にあるので注意が必要だ。肥満も下肢静脈瘤を悪化させる因子だ。

QOLを著しく低下 悪化すれば潰瘍にもなることも

 メドトロニックの日本法人で医療機器などを扱うコヴィディエンジャパンは、30歳代以上の男女4万人を対象に、「下肢静脈瘤」の有病率、疾患認知度や理解度を把握することを目的に、「足の不調と疾患/下肢静脈瘤に関する意識調査2018」を実施した。

 さらに足に「血管が以前と比べ透けて見える」「血管が浮き出ている」「血管にコブのようなものができている」などの症状がある2,240人を対象に、追加調査を実施した。

 調査結果について、「下肢静脈瘤に対しての認知度は少しずつ高まっている一方で、それが進行する疾患であることなどはあまり知られておらず、下肢静脈瘤についての理解はあまり進んでいないことが分かりました。下肢静脈瘤は進行すると湿疹など皮膚炎を合併し、さらに悪化すれば潰瘍にもなるため、適切なタイミングで治療を受けることが肝要です」と、孟真氏(横浜南共済病院 院長補佐、心臓血管外科部長、循環器センター部長)は述べている。

疾患放置によるリスクについて認識が低い

 調査では、「下肢静脈瘤」が疑われる足の症状を有している人のうち、「下肢静脈瘤」の病名を「知っている」人は、全体では22.1%、症状経験ある人では51.0%と、認知が進んでいないことが分かった。

 また、症状を有している人のうち、「治療を受けたことがある」という人は9.9%、「相談したことがある」という人は15.0%にとどまった。特に30歳代、40歳代女性は、病院での受診率が高齢女性に比べて低い。

 症状がある2,240人のうち、下肢静脈瘤について知っていると回答した人では、「自然に治ってしまうことはなく、通常ゆっくりではあっても進行していく」という回答は24.6%にとどまり、疾患の理解が進んでいないことが示された。

 受診に至った女性でも、症状に気づいてから受診まで1年以上の長期間を要した割合が68.6%に上った。すぐに受診しなかった理由は、「放っておいても、改善する、または悪化しないと思ったから」(40.3%)が多く、疾患放置によるリスクについて認識が低いことが示された。

 なお、同社が運営する疾患啓発サイト「知ってください下肢静脈瘤のこと」では、「下肢静脈瘤」について詳しく解説されている。今回の調査の、疾患理解度、治療経験者の医師への相談状況、疾患認知状況、診断状況、症状分類、症状に対する意識、治療満足度などについても公開されている。
知ってください下肢静脈瘤のこと(コヴィディエンジャパン)
日本メドトロニック

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