「アログリプチン」心血管系への安全性を検証 「EXAMINE試験」の事後解析データをEASDで発表

第53回欧州糖尿病学会(EASD)
 武田薬品工業は、9月にリスボンで開催された第53回欧州糖尿病学会年次集会において、「EXAMINE試験」の事後解析データを発表した。
 同試験では、直近に急性冠症候群(ACS)を発症し心血管系リスクの高い2型糖尿病患者における、標準治療に加えてプラセボを投与した群とDPP-4阻害薬「アログリプチン」(商品名:ネシーナ)を投与した群とで、心血管系への安全性を比較検証している。
 アログリプチンは直近に急性冠症候群(ACS)を発症した心血管系イベント発症リスクが高い2型糖尿病患者において、心血管リスクを上昇させないことが示された。
hsCRP値が高い2型糖尿病患者では血圧値、空腹時血糖値、HbA1c値、LDLコレステロール値が高くなる傾向
 「EXAMINE試験」は49ヵ国で、15~90日以内に急性冠症候群(ACS)を発症した2型糖尿病患者5,380例を無作為に割り付けて実施された試験。心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中からなる主要複合エンドポイントについて、心血管イベント発症リスクが高い2型糖尿病の患者において、「アログリプチン」(商品名:ネシーナ)による心血管イベント発症リスクの上昇は認められず、標準治療に加えてプラセボを投与した群に対する非劣性を検証する同試験の主要エンドポイントは達成された。

 主要エンドポイントの発現率は、アログリプチン投与群(305名)とプラセボ投与群(316名)とで同程度だった(追跡調査期間中央値18ヵ月において11.3% vs 11.8%、HR=0.96、片側信頼区間1.16)。これらの結果より、アログリプチンは直近に急性冠症候群(ACS)を発症した心血管系イベント発症リスクが高い2型糖尿病患者において、心血管リスクを上昇させないことが示された。

 同解析では、直近に心血管イベントを発症した2型糖尿病患者における、ベースラインの高感度C反応性タンパク質(hsCRP)値に応じた心血管死、非致死性心筋梗塞、脳卒中の主要心血管系イベント(MACE)のリスクを評価した。hsCRP値は、将来の心血管系イベントの独立した予測因子となることが分かっている。  

 同解析から、ベースラインのhsCRP値が高い患者では、血圧値、空腹時血糖値、HbA1c値、およびLDL-C値が高くなる傾向があることが示された。30ヵ月の追跡調査期間中の累積MACE発現率(発現件数)は、ベースラインのhsCRPが1mg/L未満、1~3mg/L、3mg/L超の患者で、それぞれ11.5%(119件)、14.6%(209件)、18.4%(287件)だった(P<0.001)。

 ベースラインのhsCRP値が3mg/Lを超える患者では、ベースラインのhsCRP値が1mg/L未満の患者と比較して、将来のMACE、非致死性心筋梗塞、心不全による入院、全死亡の発症に独立した関連性が認められた。また、MACE発現率(発現件数)は、LDL-C低値+hsCRP低値、LDL-C低値+hsCRP高値、LDL-C高値+hsCRP低値、LDL-C高値+hsCRP高値の患者で、それぞれ11.0%(128件)、14.4%(100件)、15.6%(194件)、21.3%(182件)だった(P<0.001)。

 これらの結果は、hsCRP値が、直近に急性冠症候群を発症した2型糖尿病患者における二次性の心血管イベントと関連していることを示しており、この関連性はLDL-C目標値の達成とは独立した相加的なものであると考えられる。
アログリプチンは心血管系イベント発症リスクが高い2型糖尿病患者の心血管リスクを上昇させない
   また、同社は、7つの第3相試験のうち1つを完了した2型糖尿病患者を対象に、「アログリプチン」を単剤投与またはその他の治療法と併用した場合の長期安全性を評価した、グローバル多施設共同非盲検延長試験の結果についても発表した。

 同試験では、2型糖尿病患者3,323名を対象とし、うち3,320名(99.9%)にアログリプチンを1用量以上投与し(安全性解析対象集団)、1,996名(60.1%)が4年間の治療期間を完了した。

 7つの第3相アログリプチン試験のうち1つを完了した2型糖尿病患者をアログリプチン12.5mgを投与する群(12.5mg完了群)または25mgを投与する群(25mg完了群)に1:1の割合で無作為に割り付け、1日1回、最長4年間の投与を実施した。

 安全性解析対象集団(3,320名)のうち、806名(24.3%)の患者に、アログリプチンに関連する治療下での有害事象が発現し、また75名(2.2%)の患者にアログリプチンに関連する治療下での重篤な有害事象が発現した。アログリプチンの安全性プロファイルは、12.5mgと25mgのいずれの1日1回投与レジメンにおいても確立されている。同試験において、アログリプチンは、2型糖尿病患者の適切な血糖コントロールを最長4年間維持した。
[Terahata]

関連ニュース

2019年01月09日
「高齢者肥満症診療ガイドライン2018」を公開 認知症やADL低下の観点を付加 日本老年医学会
2019年01月09日
「サーキットトレーニング」が効果的な運動法に 2型糖尿病発症率を最大で40%低下 国立健康・栄養研究所とカーブスジャパンが共同研究
2019年01月07日
糖尿病リソースガイド 2018年に読まれた記事ランキング・ベスト25
2018年12月28日
「劇症1型糖尿病」に関与する遺伝子を全ゲノム解析で世界ではじめて特定 日本糖尿病学会1型糖尿病委員会がオールジャパン体制で実施
2018年12月28日
「糖尿病リスク予測ツール」を公開 3年後の糖尿病発症リスクを予測
2018年12月27日
糖尿病の自己管理をアドバイスするアプリが低血糖・高血糖のリスクを低減 アセンシアの血糖自己測定システム用アプリ「CONTOUR DIABETES」
2018年12月27日
「腎機能が低下した患者」に誤った量の薬を提供 医療機能評価機構が注意喚起
2018年12月27日
若年1型糖尿病患者のQOLに影響する因子とは?
2018年12月25日
SGLT2阻害薬「スーグラ錠」 日本で1型糖尿病に適応拡大
2018年12月25日
高体重が慢性腎不全(CKD)患者の短期予後の予測因子に 糖尿病では肥満のメリットは減弱 2万6,000人を調査

関連コンテンツ

編集部注:
  • 海外での研究を扱ったニュース記事には、国内での承認内容とは異なる薬剤の成績が含まれています。
  • 2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で表わすようになりました。過去の記事は、この変更に未対応の部分があります。ご留意ください。
ページのトップへ戻る トップページへ ▶