SGLT2阻害薬「ジャディアンス」 心血管死のリスク減少の適応としてFDAが承認

2016.12.15
 日本イーライリリーと日本ベーリンガーインゲルハイムは、SGLT2阻害薬「ジャディアンス」(一般名:エンパグリフロジン)について、米国食品医薬品局(FDA)が心血管疾患のある成人2型糖尿病患者に対する心血管死のリスク減少を適応として追加承認したと発表した。
 「ジャディアンス」は、このような適応症で承認されたはじめての2型糖尿病治療薬であり、心血管に対するベネフィットをもたらすことが臨床試験で明らかにされた唯一の経口2型糖尿病治療薬となる。

心血管死のリスク減少で承認された唯一ではじめての2型糖尿病治療薬

 今回の承認は、心血管疾患を有する成人2型糖尿病患者において、2型糖尿病および心疾患に対する標準治療にジャディアンスを上乗せした時の効果を、プラセボと比較した「EMPA-REG OUTCOME 試験」のエビデンスにもとづいている。

 「糖尿病患者では、糖尿病に罹患していない人と比べて心血管疾患を2~4倍発症しやすいとされている。ジャディアンスの新しい適応により、医師は心血管疾患による死亡のリスクを減少させることができる糖尿病治療薬を初めて提供できるようになる。また、医師は患者に対して、2型糖尿病は心血管疾患のリスクが高いこと、重篤な合併症が発現するリスクが高いことへの理解を促しやすくなる」と、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院心血管部門教授でハーバードメディカルスクール医学部教授のクリストファー P. キャノン氏は述べている。

 なお、日本における「ジャディアンス錠」の効能・効果は2型糖尿病であり、心血管イベントの発現リスク減少に関連する効能・効果の適応は取得しておらず、今後の承認取得については未定だという。  糖尿病は高血糖、高血圧、および肥満などを伴い、その結果として心血管疾患を引き起こすおそれがある。心血管疾患は糖尿病の主要な合併症であるとともに、糖尿病と関連する主要な死亡原因だ。

 糖尿病患者数は、米国では約2,900万人、全世界では4億1,500万人に達する。2型糖尿病患者の死亡について、米国の約68%、全世界の約50%の原因は心血管疾患だ。米国では糖尿病患者の心血管疾患に対する医療費の合計が2012年に230億ドルを超えた。

 60歳時点で糖尿病の既往がある場合、糖尿病患者の寿命は、糖尿病に罹患していない人より最大6年短くなる。さらに、60歳時点で心筋梗塞または脳卒中の既往がある場合、これらの疾患に罹患していない人々より最大12年寿命が短くなるとみられている。

日本イーライリリー
日本ベーリンガーインゲルハイム

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