GLP-1受容体作動薬「リラグルチド」が心血管イベントの合併を抑制 LEADER試験の結果がADAで発表

 GLP-1受容体作動薬のリラグルチド(ビクトーザ®)が2型糖尿病患者の血糖コントロールを改善しつつ、主要な心血管イベントの発生リスクを低下させることを示したLEADER試験の結果が、第76回米国糖尿病学会(ADA)年次学術集会で発表された。
心疾患リスクの抑制が確認された唯一のGLP-1受容体作動薬
 LEADER*試験は、リラグルチド(1.2mg、1.8mg)の長期の影響を検討した、国際共同、多施設、無作為化、二重盲検、プラセボ対照比較試験。心血管イベントの発生リスクが高い2型糖尿病患者に対して、リラグルチドあるいはプラセボを標準治療に追加投与した。32ヵ国の410ヵ所から9,340人(リラグルチド群 4,668人、プラセボ群 4,672)の2型糖尿病患者が参加し、2010年9月に開始されフォローアップ期間は3.5~5年間だった。
* the Liraglutide Effect and Action in Diabetes: Evaluation of Cardiovascular Outcome Results

 リラグルチドのよる治療はプラセボと比較して心血管イベントを低下させることが示された。リラグルチドは血糖コントロールの改善と心疾患リスクの抑制という、ともに糖尿病の標準的治療で求められる主要な効果をもたらす、現在、唯一のGLP-1受容体作動薬であることが明らかになった。

 LEADER試験の主な結果は、ニューオリンズで開催された第76回米国糖尿病学会(ADA)年次学術集会(ADA2016)で6月13日に発表され、「New England Journal of Medicine」に6月13日付で掲載された。

 同試験では複合的な主要評価項目を、心血管死、非致死性の心筋梗塞、非致死性の脳卒中とした。主要評価項目の発生は、リラグルチド群ではプラセボ群に比べ13%少なく、有意差をもってリラグルチド群で優れていることが示された(95%CI 0.78~0.97、p=0.01)。
 心血管死はリラグルチド群ではプラセボ群に比べ22%少なかった(95%CI 0.66~0.93、P=0.007)。同様に非致死性心筋梗塞は12%少なく(95%CI 0.75~1.03, p=0.11)、非致死性脳卒中は11%少なかった(95%CI 0.72~1.11, p=0.30)。

 全死亡もリラグルチド群ではプラセボ群に比べ15%少なかった(95%CI 0.74-0.97、P=0.02)。副次エンドポイントではリラグルチド群ではプラセボ群に比べ12%少なかった(95%CI 0.81~0.96、p=0.005)。心疾患の副次エンドポイントには、(1)不安定狭心症による入院、(2)冠動脈血行再建術、(3)心不全による入院という、主要なエンドポイントの3項目のコンポーネントが含まれる。(1)(2)(3)
血糖コントロールの改善に加え、広範にわたる付加価値が求められる
 「リラグルチドが血糖コントロールを改善し、体重減少をもたらすのに加え、主要な心血管イベントの合併と死亡を抑えるのを促進し、アウトカムを改善することが示された。心血管は世界的に糖尿病患者のポピュレーションにおける主要な死因となっており、試験結果は大変に興味深いものだ。血糖コントロールを改善し、同時に心疾患リスクを低減させる2型糖尿病の治療は重要だ」と、LEADER試験進行委員会委員長を務めるJohn Buse氏(ノースカロライナ大学医学大学院糖尿病ケアセンターディレクター)は言う。(1)

 平均HbA1c値はベースライン時には両群とも8.7%だったが、3年間でリラグルチド群ではプラセボ群に比べ0.40%より低下した(95%CI -0.45~-0.34)。体重はベースライン時には、リラグルチド群では91.9kg、プラセボ群で91.6kgだったが、3年間でリラグルチド群ではプラセボ群に比べ2.3kgより低下した(95%CI -2.5~-2.0)。

 有害事象の発生率はリラグルチド群とプラセボ群では類似しており(62.3% 対 60.8%)、リラグルチド群でもっとも多かった有害事象は消化管イベントだった。

 「今回、心血管リスクの高い2型糖尿病患者の標準治療にリラグルチドを追加投与した場合、糖尿病のもっとも深刻な合併症である心血管死、非致死性心筋梗塞あるいは非致死性脳卒中の発生する確率は、プラセボを上乗せした場合より低かった。2型糖尿病の治療では、単に血糖コントロールを改善するだけでなく、広範にわたる付加的な価値が求められるようになっている」との結果が示された。(2)

 リラグルチド(ビクトーザ®)は、2009年に欧州で上市され、2016年時点で世界80ヵ国以上で発売され、世界で300万人・年以上の2型糖尿病患者に投与されているGLP-1受容体作動薬。米国糖尿病学会(ADA)によると、▽食後血糖を含めた血糖降下作用に優れる、▽HbA1cの目標の達成度が高い、▽体重増加が少ない、▽単独では低血糖を起こしにくい、といった特徴がある。2010年に成人2型糖尿病における食事および運動療法の補助を適応症として承認された。(2)

1. Victoza® significantly reduced the risk of major cardiovascular events and death in adults with type 2 diabetes in the LEADER trial
Novo Nordisk 2016年6月13日
2. Liraglutide Lowers Risk for Cardiovascular Complications, Kidney Disease and Death in People with Type 2 Diabetes
American Diabetes Association 2016年6月13日
3. Liraglutide and Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes
New England Journal of Medicine 2016年6月13日
[Terahata]

関連ニュース

2017年06月12日
インスリン抵抗性に起因する2型糖尿病などの新規治療薬開発を目指した共同研究を開始 神戸大とベーリンガー
2017年06月07日
高尿酸血症が腎臓の機能障害の原因に 少しの異常でも腎臓に悪影響
2017年06月05日
糖尿病治療に貢献するビジネスプランを募集するコンテストを開始 糖尿病領域の医療課題を解決
2017年06月02日
日本の糖尿病足潰瘍の発症率は欧米の10分の1 日本初の大規模調査
2017年06月02日
膵β細胞の時差ぼけが糖尿病を引き起こす 生体リズムと糖尿病の関係性とメカニズムを解明
2017年06月02日
リゾリン脂質がGLP-1の分泌を促進 新たな糖尿病治療法の開発につながる成果
2017年05月31日
自己血糖測定器「グルテストアイ」発売 見やすさと使いやすさを追求
2017年05月31日
「ランタスXR」の観察研究「X-STAR Study」の中間解析結果を発表
2017年05月31日
「ビデュリオン」は心血管(CV)イベントのリスクを上げない EXSCEL試験
2017年05月31日
DPP-4阻害薬と選択的SGLT2阻害薬の配合剤 承認申請

関連コンテンツ

編集部注:
  • 海外での研究を扱ったニュース記事には、国内での承認内容とは異なる薬剤の成績が含まれています。
  • 2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で表わすようになりました。過去の記事は、この変更に未対応の部分があります。ご留意ください。
ページのトップへ戻る トップページへ ▶