SGLT2阻害薬の副作用に注意 市販直後調査で5人の死亡例

2014年10月23日 

 SGLT2阻害薬に関する市販直後調査の中間報告を、製薬メーカー各社が公表した。10月中旬までの調査報告から、SGLT2阻害薬3剤で5人の死亡例が報告された。
 SGLT2阻害薬は、SGLT2によるブドウ糖の再吸収を抑制する薬剤で、従来とは全く異なる作用機序であることが注目されている。血糖低下作用の他、脂肪燃焼による体重減少、浸透圧利尿による血圧低下、尿酸値低下、アディポネクチン増加などの作用が報告されており、肥満傾向をもつ患者に向いていると考えられている。

 SGLT2阻害薬の副作用として多いのは、「低血糖」「脱水」「薬疹などの皮膚症状」。製薬メーカーは次のことを呼びかけている。

● 低血糖
 SGLT2阻害薬とインスリン製剤やスルホニルウレア(SU)薬との併用により重篤な低血糖を起こした症例が報告された。これらの薬剤と併用する場合は、低血糖のリスクが増加するおそれがある。

● 脱水等(体液量減少)
 SGLT2阻害薬の副作用として、特に高齢者で脱水や口渇が報告されている。のどや口の渇き、血圧低下、めまい・ふらつきなどの異常が認められた場合には、体液量の減少を防ぐため、通常より多めに水分を摂取することが必要となる。多尿、頻尿、脱水症状、糖尿病性ケトアシドーシス、高浸透圧高血糖症候群、脳梗塞を含む血栓・塞栓症なども報告されている。高齢者では脱水症状の発見が遅れるおそれがあるので特に注意が必要となる。

● 皮膚関連疾患
 SGLT2阻害薬の副作用としてもっとも多く報告されている副作用は皮膚関連事象だ。日本糖尿病学会が発表したレコメンデーションでは「薬疹を疑わせる紅斑などの皮膚症状が認められた場合には速やかに投与を中止し、皮膚科にコンサルテーションすること。また、必ず副作用報告を行うこと」と注意が呼びかけられている。

● 尿路感染・性器感染
 尿路感染として頻尿、排尿痛、尿の色の濁り、発熱や疼痛を伴うなど、性器感染として陰部のかゆみ、炎症、女性では帯下感や帯下の色の異常などの症状が報告されている。体に異常があれば速やかに医師に伝えることが重要だ。尿路感染、性器感染に関連する副作用は、男性より女性で多く報告されている。特に女性では自発的に症状を訴えないことが多く、症状がある場合には、早期に婦人科等の専門医の診察を受ける必要がある。

 死亡の原因には不明の点が多いが、製薬メーカーは同剤の適正使用を呼びかけている。発売がもっとも早かった「イプラグリフロジン」(商品名:スーグラ)について、販売開始日(4月17日)から5ヵ月後に当たる年10月16日までの中間報告が公開された。死亡例は1人で、動悸、胸痛、発熱、冷汗が発現し同剤の投与を中止したが、その5日後に自宅で倒れているところを発見された。調査の結果、死因、発見時の状況などは不明だった。

 5月23日に発売された「ダパグリフロジン」(商品名:フォシーガ)は、承認日(3月24日)から4ヵ月後に当たる9月22日までの中間報告が公開された。死亡例は以下の3人だった。

・ 男性 60歳代
 もともと服薬コンプライアンス不良で血糖値が乱高下していた。同剤投与約2ヵ月後、患者自身が低血糖症状を訴えて来院。血糖値測定するも160mg/dLで低血糖の可能性は低いと判断し、グリメピリドを中止。4日後、倒れて救急車で搬送され、搬送先の病院で死亡。死因が不明なので、詳細を調査中。

・ 男性 50歳代
 高血圧、脂質異常症、メタボリックシンドローム(体重:99.4kg)、関節リウマチを有する患者。本剤開始46日後、下痢、嘔吐、倦怠感、発汗あり。補液開始15分後、眼球上転、下顎呼吸、脈触知不能となり心臓マッサージ及び人工呼吸開始、救急隊要請。搬送先の病院で死亡。

・ 女性 60歳代
 脂質異常症、高血圧、薬剤によって良好にコントロールされていた。日常生活:歩いて診察に来ており、食事や排せつは問題なし、受け答えも問題なし。腰椎滑り症でほとんど寝たきりであり、食欲はなかった。患者自身が来院できず、その後は家族が薬を取りにきていた。死因は不明で、同剤との因果関係についても不明。

 5月に発売された「トホグリフロジン」(商品名:デベルザ/アプルウェイ)についても、発売開始から4ヵ月後に当たる9月22日までの中間集計が公開された。同剤での死亡例は1人。60歳代男性で、慢性心不全、低酸素症、発作性心房細動などを合併していた。下痢・嘔吐が頻回に発現していたが水分摂取が不十分であり、脱水により高血糖昏睡が発現し死亡に至ったとみられる。脱水の原因として、同剤以外に、下痢、嘔吐、入浴による発汗、利尿薬との併用が考えられる。

アステラス メディカルネット
フォシーガ(アストラゼネカ)
デベルザ錠(興和創薬)
アプルウェイ(サノフィ)

編集部注:海外での研究を扱ったニュース記事につきましては、国内での承認内容とは異なる薬剤の成績が含まれています。

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