長時間作用型GLP-1受容体作動薬「dulaglutide」などの治験結果を発表
2013年05月22日
「dulaglutide」は長時間作用型GLP-1受容体作動薬で、「LY2409021」は新規選択的グルカゴン受容体拮抗薬。2剤の治験結果は以下の通り―― ・ 日本人2型糖尿病患者でのdulaglutideの血糖コントロールに関する用量-反応関係の検討(プラセボ対照無作為化2重盲検比較試験)
目的:日本人2型糖尿病患者におけるdulaglutide(長時間作用型GLP-1受容体作動薬)週1回皮下投与の用量-反応関係を評価した。
方法:食事/運動療法または経口血糖降下薬単剤療法で効果が十分でない日本人2型糖尿病患者に対して、プラセボまたはdulaglutide(0.25、0.5または0.75 mg) を週1回皮下投与した。
結果:145例[年齢(平均±SD):52.17±8.82歳、HbA1c(平均±SD):8.00±0.64%]に治験薬が投与され、138例が完了した。12週後でのHbA1cのベースラインからの平均変化量はプラセボ、0.25、0.5、0.75 mg群の順に-0.18%、-0.90%、-1.15%、-1.35%であり、dulaglutideの用量依存的な血糖降下作用が確認された (p<0.001)。有害事象発現例の割合にプラセボ群とdulaglutide各群の間に統計学的な有意差は認められなかった。
結論:dulaglutide 0.75 mgの週1回皮下投与は全般的に忍容であり、日本人2型糖尿病患者での臨床推奨用量になると考えられた。 ・ グルカゴン受容体拮抗薬LY2409021を日本人2型糖尿病患者に28日間経口投与したときの血糖降下作用
目的:日本人2型糖尿病患者におけるLY2409021(新規の選択的グルカゴン受容体拮抗薬、以下LY)1日1回28日投与したときの、安全性、忍容性、薬物動態及び薬力学的作用を評価した。
方法:31例の日本人2型糖尿病患者に対して、プラセボまたはLY(5、30、60mg)を1日1回28日間経口投与した。
結果: 投与28日目の各LY群のtmax中央値は4 - 7時間、t1/2平均値は61.1 - 65.7時間であり、曝露量に用量比例性が認められた。空腹時血糖値及びHbA1cは用量依存的に低下した。29日目の空腹時血糖値のベースラインからの変化量のプラセボとの差(最小二乗平均)は、5、30、60mgの順に、-41、-59、-67mg/dL であった。LYの忍容性は概して良好であり、軽度の低血糖症が30mg群で1件報告された。LY群で可逆的なALT、AST上昇が認められたが、総ビリルビン上昇や肝障害を示唆する症状は伴わなかった。以上の結果は、日本人患者での開発を支持するものであった。 日本イーライリリー
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