よりよい糖尿病看護を目指して

Vol.2 何が大切?今、何ができる?
「腎症の重症化予防」を考えよう

関東労災病院 糖尿病・内分泌内科 部長 浜野 久美子 先生
筆者について

糖尿病の三大合併症の一つ、糖尿病性腎症(Diabetic Nephropathy)の脅威は、医療スタッフなら誰もが感じていることと思います。糖尿病性腎症は5~10年以上かけてゆっくり進行する合併症です。ある時期をこえると不可逆的 "point of no return" に末期腎不全、透析へと進行していきますが、逆に早期から重症化を防ぐためにできることは少なくないと考えます。

尿中アルブミン検査を実施していますか?

 糖尿病性腎症の症状というと「たんぱ<尿」と答える患者さんは多いですが、実は、たんぱ<尿よりもずっと前に現れるのが、ご存じアルブミン尿です。典型的な糖尿病性腎症では、早期の段階で微量のアルブミン(30~299mg/gCr)が尿中に出現しますので、尿中アルブミン検査は糖尿病性腎症の早期診断・治療の要といえます。
 尿中アルブミンの排泄量は排尿条件などにより変動するため、複数回(『CKD診療ガイドライン2018』では3~6カ月に1回と提案)測定し、経過観察を行う必要がありますが、残念ながらその実施率は高くないのが現状のようです。糖尿病歴の長い患者さんで、尿中アルブミン検査を受けていない方がおられたら、一度、医師に検査の必要性について相談してみてください。保険も適用されます。

重症化予防のための集約的治療

 次に、糖尿病性腎症を発症した患者さんには、何が大切だと思いますか? もちろん血糖コントロールは重要です。しかしそれだけでなく、糖尿病性腎症をはじめとする血管合併症には、肥満や高血圧、脂質異常、喫煙などが関与していることから、これらの危険因子を包括的に管理する「集約的治療」が求められます。つまり、生活習慣の是正がこれまで以上に必要になるわけです。
 患者さんの中に「私は腎臓が悪いのに、どうして降圧剤が処方されるのか?」と指摘される方がおられます。これは、腎症の重症化予防のために血圧を抑える必要があるからです。高血圧治療の第ー選択薬であるレニン・アンジオテンシン系阻害薬(RAS阻害薬)は、降圧効果だけでなく、尿中アルブミン量を低下させ腎症を抑制する効果が証明されており処方されることが多い薬剤です。
 また、糖尿病の治療薬についても、DPP-4阻害薬やSGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬といった新しい機序の薬剤で、腎症を抑制する可能性が示されたものもあります。処方の変更があった際には、ぜひ療養指導、服薬指導の場で患者さんに説明してあげてください。
 腎症は早期のうちであれば改善する可能性があります。"point of no return" 段階の手前で、腎症重症化予防をぜひ実現させていただきたいと思います。

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