【新型コロナ】医療機関の受診控えで健康リスクが上昇 日本医師会は安心マークを発行「医療機関では感染防止を徹底している」

 新型コロナウイルス感染症の拡大にともない、診察や通院が手控えられ、病気の発見が遅れる、あるいは必要な治療を受けないなどのリスクが懸念されている。
 産経新聞社と大阪病院が、健康意識の高い全国の中高年を対象に実施した調査によると、医療機関の受診控えで健康リスクが高まっている人が増えている。
 日本医師会は『みんなで安心マーク』を発行し、「医療機関はこれまで以上に感染防止対策に取り組んでいます。安心して来院してください」と呼びかけている。
半数が自身の体調の変化や不安に対し「何もしていない」
 調査は、産経新聞社と大阪病院(大阪府)が、コロナ禍における「診察や通院の現状と、心と身体について抱えている不安」を聞くために、11月に実施したもの。

 全国の健康意識の高い中高年3,118人が回答し、うち50代、60代、70代以降の年代が全体の9割を占めた。

 新型コロナウイルス感染症の拡大にともない行動制限を強いられているなかで、体調や気持ちの変化として感じていることとして、「先行きに不安を感じるようになった」(32.1%)、「ストレスがたまりやすくなった」(31.3%)を挙げる人が多かった。「体調や気持ちの変化はない」という回答は、男性の30.4%、女性の18.4%と少なかった。

 自分の「体調の変化や不安、気持ちの変化」に対して、「特に何もしなかった」という人は50.4%と半数に上り、次いで「家族に相談した」(19.3%)、「医師など医療関係者に相談した」(17.1%)、「自分で医療機関を探して調べた」(15.2%)と続いた。体調や気持ちの変化を、個人の中で抱え込んでしまっている状況が懸念される結果になった。

 「自身の健康や気になることを誰に最初に相談しますか?」という問いに対しては、「家族または親族」(70.3%)、「かかりつけ医」(39.1%)を挙げた人が多かった。

出典:産経新聞社、2020年
医療機関で感染しないか不安
 なんらかの持病をもっている人に、定期受診(通院)について聞いたところ、「ずっと変わらず通っている」は73%を占めた一方で、「受診に行く回数が減った」「減っていたが最近は以前同様に通っている」も27.0%に上った。感染症が拡大した中で、通院控えが一定割合に上ることが示された。

 健康診断については「いつもどおりに受けた」が54.6%で、全般に健康意識が高いことが示された。一方で、「いったん延期したが、年度内に受けた(受ける予定)」(24%)、「いったん延期。今後受けるかどうかは未定」(9.1%)という回答もあり、3分の1の人が健診を延期していることが分かった。

 「自分やご家族が病院や医院に通院したり、検診を受けたりすることに不安を感じますか?」という問いに対しては、「待合室などで感染しないか不安」(63.7%)がもっとも多く、「医師や職員から感染しないか」(21.1%)、「医療機関に行く道中での感染」(18.7%)という回答もあつた。一方、「とくに不安は感じていない」との回答は31.6%と3分の1未満にとどまった。

出典:産経新聞社、2020年
医療機関が感染対策をしていることを周知させる必要が
 「どのような医療機関や検診センターであれば安心して受診できますか?」という問いに対しては、「頻繁な消毒」「館内の全面的な抗菌・坑ウイルス仕様」「医師や看護師などの職員が定期的に検査を受けている」と答えた人が多かった。

 「医療機関で感染するのではないか」との懸念をもっている人が少なくなく、それが受診控えの一要因になっている可能性がある。この懸案を解決するために、医療機関がどのような感染対策をしているかを十分に周知させる必要がある。

出典:産経新聞社、2020年

 この調査を監修した大阪病院の西田俊朗院長は、「コロナの流行で先が見えないなか、仕事や生活様式が大きく変化し、不安やストレスをため込んでいる状況がうかがえます。同時に、行動制限や体調・気持ちの変化に対する考え方や反応が、個々によってPositiveな方向とNegativeな方向の両方に二極化していることも分かりました」と述べている。

 「医療機関の受診に際しては、かなりの人が感染への不安から、受診を控えているようです。大阪病院で診ていると、最近、コロナ以外の病気で病状が非常に悪くなって緊急受診をする人が増えています。そのような状況では、治せる病気も治せなくなります。ぜひ、医療機関を適正に利用していただきたいと思います」と、西田院長は述べている。

 西田院長は来年1月より、新聞読者の健康不安などに回答するコラムを「産経ニュース」で開始する予定。
医療機関では新型コロナウイルス感染症などの感染防止の対策を徹底
日本医師会は「みんなで安心マーク」を発行
 新型コロナウイルスの感染拡大にともない、これまで通院されていた人や、生活様式が大きく変化し不調をきたした人が、感染リスクを恐れて、医療機関への受診を控えたり、先延ばしにしている現状がある。

 また、子供の感染を心配して、予防接種を控えたり、健康診断を取りやめている人も少なくない。

 日本医師会はこうした現状について、「医療機関はこれまで以上に感染防止対策に取り組んでいます。このままでは、日本の医療の良さである病気の早期発見、早期予防にも支障をきたし、国民の皆様の健康にも深刻な影響を与えかねません」と、警鐘を鳴らしている。

 こうした状況に鑑み、日本医師会では、患者が安心して医療機関に来院できるよう、感染防止対策を徹底している医療機関に対して、『新型コロナウイルス感染症等感染防止対策実施医療機関 みんなで安心マーク』を発行している。

 「みんなで安心マーク」は、医療機関が感染防止対策セルフチェックリストの全ての項目を実践していることを回答した場合に発行される。

 「みんなで安心マーク」を発行した医療機関のリストを、日本医師会のホームページで見ることができる。

日本医師会「みんなで安心マーク」PR動画

予防接種篇

健康診断篇

産経新聞社

公益社団法人 日本医師会
[Terahata]

関連ニュース

2021年01月07日
【新型コロナ】2型糖尿病患者がコロナ禍で受診を控え血糖コントロールが悪化 J-DOMEの症例データを分析 日本医師会
2021年01月07日
【新型コロナ】日本糖尿病学会と日本糖尿病協会が患者向け声明を公表「患者と医師・医療従事者が連携をとり、困難な時期を乗り切ろう」
2021年01月05日
医療ビッグデータを解析する人工知能(AI)を開発 健康診断のデータから生活習慣病の発症因子を推定 エビデンスに基づく保健指導の実現へ
2021年01月05日
【新型コロナ】高齢で基礎疾患があると死亡リスクは上昇 80歳以上で基礎疾患のある患者では致命率は20%超 国立感染症研
2021年01月04日
【糖尿病ニュース TOP15】1年間で最も読まれたニュースは? 糖尿病リソースガイド/糖尿病ネットワーク
2020年12月28日
糖尿病を契機に膵がんを早期発見すると治療向上につながる 糖尿病患者の膵がんリスクは2倍
2020年12月24日
「ファリシマブ」が糖尿病黄斑浮腫の第3相試験で主要評価項目を達成 良好な持続性も 初のバイスペシフィック抗体
2020年12月24日
【新型コロナ】医療機関の受診控えで健康リスクが上昇 日本医師会は安心マークを発行「医療機関では感染防止を徹底している」
2020年12月24日
高脂血症治療薬「ピタバスタチン」の抗がん作用を発見 ドラッグ リパーパシングで新たな抗がん剤候補を探索 東京医歯大
2020年12月22日
糖尿病・肥満症外来で血糖のクラウド管理システムを用いた遠隔診療を開始在宅での血圧・体重・血糖値・インスリン使用量などを医師が確認 慶應義塾大学病院

関連コンテンツ

編集部注:
  • 海外での研究を扱ったニュース記事には、国内での承認内容とは異なる薬剤の成績が含まれています。
  • 2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で表わすようになりました。過去の記事は、この変更に未対応の部分があります。ご留意ください。
ページのトップへ戻る トップページへ ▶