2型糖尿病女性の低用量アスピリン療法に認知症予防効果 認知症リスクが42%低下 男性では差はなし

 脳卒中や心血管疾患の再発予防のために行われている「低用量アスピリン療法」が、2型糖尿病患者の女性の認知症発症リスクを低下させる可能性があることが、兵庫医科大学などの研究で示された。
低用量アスピリンの認知症予防効果を解明
 研究は、兵庫医科大学臨床疫学の森本剛教授および、国立循環器病研究センターの小川久雄理事長、奈良県立医科大学の斎藤能彦教授、熊本大学副島弘文准教授らの共同研究グループによるもの。研究成果は「Diabetes Care」電子版に掲載された。

 JPAD(日本人2型糖尿病患者における低用量アスピリン療法の心血管疾患一次予防:Japanese Primary Prevention of Atherosclerosis with Aspirin for Diabetes)研究は、日本全国163施設が協力し2002年に開始された。

 研究グループは、JPAD研究に参加し研究に同意した日本人2型糖尿病患者2,536人を対象に、「低用量アスピリン」を服用するグループ1,259人と「低用量アスピリン」を服用しないグループ1,277人にランダムに分けて、2002~2017年の約15年間の認知症発症の有無について追跡調査した。

 対象者2,536人のうち、128人が認知症を発症した。発症率の性差について分析したところ、低用量アスピリン(81~100mg/日)の服用の有無で認知症発症のリスクを比較したところ、男性患者ではリスクに差はみられなかったが、低用量アスピリンを服用し続けた女性患者ではリスクが42%低下した。
 日本における認知症有病者は、2012年の時点で462万人と年々増加傾向にあり、認知症の発症遅延や発症リスクの低減が重要となっている。とくに、糖尿病を持病としてもつ高齢者の場合は、高血糖の状態が続くことで認知機能が低下しやすく、アルツハイマー型認知症には約1.5倍、脳血管性認知症には約2.5倍なりやすいという報告もある。

 「今回の研究では、女性にのみ効果が認められましたが、今後研究を進めて、低用量アスピリンの認知症予防効果を解明していくことで、将来的に認知症予防薬として活用されることが期待されます」と、研究者は述べている。

兵庫医科大学臨床疫学
Sex Difference in Effects of Low-Dose Aspirin on Prevention of Dementia in Patients With Type 2 Diabetes: A Long-term Follow-up Study of a Randomized Clinical Trial(Diabetes Care 2019年12月4日)
[Terahata]

関連ニュース

2020年08月27日
青少年患者へのCGM開始には本人の意思決定が重要
2020年08月20日
インフルエンザワクチンが糖尿病患者の全死亡や心血管死を抑制する可能性
2020年08月06日
2型糖尿病罹病期間と末期腎不全リスクの関係は、発症年齢の若い方が顕著
2020年07月30日
ビタミンC、カロテノイド、全粒穀物が糖尿病リスクを下げる
2020年07月16日
座位が続くときは軽い運動を間に挟むと糖代謝が改善
2020年07月09日
インスリンやメトホルミンにGLP-1受容体作動薬を追加 HbA1cが低下
2020年07月02日
GLP-1受容体作動薬の週1回投与単回使用製剤「オゼンピック皮下注SD」を発売 効能・効果は2型糖尿病
2020年07月02日
COVID-19発症1型糖尿病患者はDKAに要注意
2020年06月25日
ストレスが閉経後の2型糖尿病女性の冠動脈イベントを増やす
2020年06月18日
糖尿病患者のCOVID-19による重症化や死亡にBMIが関連

関連コンテンツ

編集部注:
  • 海外での研究を扱ったニュース記事には、国内での承認内容とは異なる薬剤の成績が含まれています。
  • 2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で表わすようになりました。過去の記事は、この変更に未対応の部分があります。ご留意ください。
ページのトップへ戻る トップページへ ▶