「吸入インスリン」の第2相および第3相試験の結果を発表 MCIあるは軽度のアルツハイマー病の患者が対象 AAIC 2019

 MCIまたは軽度のアルツハイマー病の患者を対象とした吸入インスリンの第2相および第3相試験の18ヵ月間の結果が、米ロサンゼルスで7月に開催された「2019年アルツハイマー病協会国際会議(AAIC 2019)」で発表された。
非盲検延長試験を含む18ヵ月の試験
 ウェイクフォレスト医科大学老人医学部のスザンヌ クラフト氏や南カリフォルニア大学(USC)ケック医学部アルツハイマー治療研究所神経学部教授のポール エイセン氏らによる第2相/3相試験では、26の研究機関に289人のMCIあるいはアルツハイマー病の患者が登録された。

 被験者は、40IUの吸入インスリン(Humulin-RU100、イーライリリー)あるいはプラセボを12ヵ月間毎日投与され、その後6ヵ月の非盲検延長試験(OLE)が行われた。

 アウトカムとして、アルツハイマー病評価尺度-12(ADASCog-12)が15ヵ月目および18ヵ月目に行われ、MCI日常生活スケール活動機能測定(ADL-MCI)、および脳脊髄液中のアルツハイマー病バイオマーカー(CSF)のよる検査も行われた。OLE結果についてはAAIC 2019での報告が初めてものとなる。

 最初の49人の被験者では、インスリンを送達した鼻腔デバイス(Kurve Technology、デバイス1)の信頼性は一貫していなかった。残りの240人の被験者には、新しいデバイス(Impel NeuroPharma、デバイス2)が使用された。

 デバイス2の母集団は一次治療企図(ITT)分析用に事前に指定され、二次分析ではデバイス1のITTコホートが調べられた。最初の研究の終了時(12ヵ月目)に、デバイス2のグループに対するインスリンの利点は認められなかったが、デバイス1のグループはインスリンの作用が向上する傾向が認められた(p=0.091)。

 289人の被験者のうち、デバイス1(44人)、およびデバイス2(203人)で、OLEが行われた。試験を通じてインスリンで治療されたデバイス1グループは、15ヵ月目と18ヵ月目にADASCog-12スコアが優位となり(-5.70および-5.78ポイント、p=0.004および0.018)、ADL-MCIスコアは18ヵ月目に優位になった(4.85ポイント、p=0.047)。

 デバイス2の被験者では、ADASCog-12などの結果は、インスリングループとプラセボグループとで差がなかった。コンプライアンスと有害事象は、両治療群おもに両コホートでともに類似していた。

 「デバイス1のグループでは、とくにバックグラウンド処理において、大きな成果を得られた」と、クラフト氏は言う。「デバイス1は時間をかけて強化するもので、18ヵ月の時点でインスリン治療グループで、病態を改善する効果に一致するパターンが示され、長期にわたり統計的に有意な利点が示された」。

 デバイス1グループのバイオマーカーデータでは、インスリン治療グループのAbeta42/40比(p 0.01)とAbeta42/tau比(p=0.03)において有意な改善が示された。これらの比率は、脳のアルツハイマー病に関連する病理の総合的な尺度となる。アミロイドβ42(Abeta42)は、アルツハイマー病の顕著な脳病変の1つであるアミロイドプラークの主要な初期構成要素だ。クラフト氏によるとこの好ましい変化は、介入による効果を示している。

 「デバイス1について、被験者の数は少ないものの、このデバイスが中枢神経系にインスリンを届けるのに成功していることを示している。新しいデータは、経鼻インスリンを投与することで、認知、行動、バイオマーカーにおいて有益な効果が長期にわたり持続する可能性があることを示した、説得力のある事例となる」と、クラフト氏は言う。「今後、大規模研究を実施するための十分なエビデンスを提供している」。

 「すでに認知症の症状を示している患者にとって効果的な治療法となる可能性があることは非常に重要だ」と、とクラフト氏は付け加えてる。「アルツハイマー病や他の認知症を抱えている人々、および今後数年間で発症するリスクのある人々に対し、新たな治療を提供するための努力を続ける必要がある」。

2019年アルツハイマー病協会国際会議(AAIC 2019)
Clinical Trial Results at AAIC 2019 Focus on New Ideas and New Targets(アルツハイマー病協 2019年7月17日)
[Terahata]

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