糖尿病性腎症の進行を再生医療で防ぐ 骨髄「間葉系幹細胞」で治療 札幌医科大などが2021年度の治験を目指す

 札幌医科大学と再生医療ベンチャー企業のミネルヴァメディカが、糖尿病性腎症を、患者自身の骨髄にある「間葉系幹細胞」で治療する、北海道発の再生医療の共同研究に取り組んでいる。
自己骨髄間葉系幹細胞の腎局所投与による糖尿病性腎症の治療
 札幌医科大学解剖学第2講座の藤宮峯子教授らは、糖尿病性腎症患者自らの骨髄間葉系幹細胞を培養過程で治療効果の高い細胞に活性化するために、培地成分や新規培養方法を見いだしている。

 骨髄間葉系幹細胞には、骨髄から血流に乗って全身を巡り、必要に応じて活性化し、壊れて機能を失った細胞を修復する力があり、再生医療への応用が期待されている。

 動物実験では、腎局所への細胞の単回投与で人工透析導入を約10年間遅延できることが示された。

 藤宮教授らは、3次元構造を有した培養基材と賦活剤を併用することで、糖尿病、慢性炎症、自己免疫疾患、加齢などで治療効果の減弱した骨髄間葉系幹細胞を活性化し、さらに治療効果の高い細胞を培養する方法を開発した。

 具体的な方法として、まず患者の腰骨から骨髄液を採取し、シャーレで培養して細胞を増やし、間葉系幹細胞だけを取り出す。さらにシートに植え、ヒトの胎盤抽出液を賦活剤として加えて再び培養し活性化させる。

 さらに、機能が低下した同じ患者の腎臓にこのシートを貼りつけ、糸球体などを再生する。

 研究では、骨髄間葉系幹細胞の腎局所投与で腎不全の進行が抑制でき、透析療法を遅延または回避できることを見いだした。

 骨髄間葉系幹細胞の全身(静脈)投与では、腎不全期には治療効果がなく、腎局所投与により最大の治療効果が得られるという。

 札幌医科大とミネルヴァメディカは、再生医療医薬品として国の製造販売承認の取得を目指し、2021年度にも医師主導の治験を始める計画をたてている。

 なお、開発した技術は、糖尿病性腎症や慢性腎臓病だけでなく、慢性炎症(線維化)を起こした各種臓器の治療に広く応用できる可能性がある。

札幌医科大学解剖学第2講座
  細胞療法としての骨髄間葉系幹細胞
[Terahata]

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編集部注:
  • 海外での研究を扱ったニュース記事には、国内での承認内容とは異なる薬剤の成績が含まれています。
  • 2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で表わすようになりました。過去の記事は、この変更に未対応の部分があります。ご留意ください。
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