経口のGLP-1受容体作動薬「セマグルチド」 日本人2型糖尿病患者対象の第3相試験 HbA1cおよび体重減少は従来のGLP-1より優れている
2018.12.05
ノボ ノルディスクは、日本人2型糖尿病患者を対象に、経口セマグルチドをビクトーザ(一般名:リラグルチド)0.9mgおよびプラセボ(いずれも単剤投与)と比較した52週間の第3相試験「PIONEER 9」の主要な結果を発表した。経口セマグルチドは、世界ではじめて錠剤化に成功した1日1回服用するGLP-1アナログの経口薬。
経口セマグルチド最高用量で80%の患者がHbA1c目標値を達成
従来のGLP-1受容体作動薬と同様の安全性プロファイル
「PIONEER 9」は、52週間の無作為割り付け、二重盲検プラセボ対照、非盲検実薬対照、第3相試験。食事療法と運動療法のみ、またはそれに加えて経口糖尿病薬単剤で治療を受けている日本人2型糖尿病患者を対象に、経口セマグルチド、プラセボ、ビクトーザの5群を設け、経口セマグルチドの用量反応性などを比較した。
同試験では、2型糖尿病の日本人成人243名を対象に、経口セマグルチド3mg、7mg、14mgとビクトーザ0.9mgおよびプラセボとの比較により、経口セマグルチドの安全性および有効性を検討した。
その結果、HbA1cはベースラインで平均8.2%だったが、投与後26週には経口セマグルチド3mg、7mg、14mgでそれぞれ1.1%、1.5%、1.7%低下し、プラセボでの0.1%の低下に比べ有意に低下し、主要目的が達成された。さらに、経口セマグルチドの最高用量である14mgではビクトーザ0.9mgでの1.4%に比べ有意に低下した。
投与後52週には、プラセボ投与ではHbA1cが0.5%上昇したのに対し、経口セマグルチド3mg、7mg、14mgではそれぞれ0.9%、1.3%、1.5%低下し、統計的に有意な低下が認められた。ビクトーザ0.9mgでのHbA1cの低下量は1.1%であり、経口セマグルチドに比べ有意差は認められなかった。
投与後52週にHbA1cの治療目標7.0%未満を達成した被験者の割合は、経口セマグルチド3mg、7mg、14mgでそれぞれ50%、67%、80%、ビクトーザ0.9mgでは49%、プラセボでは12%だった。
体重はベースラインで平均71.1kgだったが、投与後52週に経口セマグルチド14mgで2.8kg減少し、プラセボの1.0kg減少およびビクトーザ0.9mgの0.4kg増加に比べ有意に減少した。経口セマグルチド3mgおよび7mgでの体重減少は、それぞれ0.0kgおよび0.6kgだった。
この52週間の試験において、経口セマグルチドの忍容性は良好で、GLP-1受容体作動薬の安全性プロファイルと同様だった。経口セマグルチドでもっとも発現頻度が高かった有害事象は便秘および軽度から中等度の悪心だったが、経時的に消失した。有害事象により投与を中止した被験者の割合は経口セマグルチドで2~4%だった。
経口セマグルチドの第3相試験は、日本人2型糖尿病患者における単独療法試験(PIONEER 9)と経口糖尿病薬併用試験(PIONEER 10)を含む、合計8,845名の2型糖尿病患者を組み入れたグローバル臨床開発プログラムで、2018年末までに完了する予定。
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]