次世代の2型糖尿病治療薬「Imeglimin」 ミトコンドリアの機能を改善 日本での第3相試験の登録を完了

2018.08.03
 フランスのバイオ医薬品企業Poxel社は、提携する大日本住友製薬と連携し、2型糖尿病の治療薬として開発中の治療薬「Imeglimin」の日本における第3相試験である「TIMES 1」臨床試験の患者登録が完了したと発表した。さらに、第78回米国糖尿病学会(ADA)では、前臨床モデルにおける同剤の作用機序に関連した知見を発表した。

ミトコンドリアの機能を改善する新規治療薬

 「Imeglimin」は、ミトコンドリアの機能を改善するメカニズムをもつ治療薬。2型糖尿病治療において重要な役割を担う3つの器官(肝臓・筋肉・膵臓)において、グルコース濃度依存的なインスリン分泌の促進、インスリン抵抗性の改善および糖新生の抑制という作用を示し、血糖降下作用をもたらすことが期待されている。

 同剤は、世界保健機関(WHO)によって新たな化合物クラスである「Glimins」として登録されており、同クラスとしてはじめて臨床試験が実施されている化合物。

 糖尿病による細小血管・大血管障害の予防につながる血管内皮機能および拡張機能の改善作用や、膵臓β細胞の保護作用も示されており、2型糖尿病治療における単剤および併用による血糖降下療法において、幅広く使用される治療薬となる可能性がある。

膵β細胞保護作用により2型糖尿病の発症と進行を遅らせる可能性

 日本における「Imeglimin」の第3相試験である「TIMES 1」試験の患者登録は、2018年7月3日に完了した。同試験は、200例を超える日本人2型糖尿病患者を対象とした、多施設共同、二重盲検、プラセボ対照比較、無作為化、単剤療法試験。「TIMES」試験は、計約1,100例の患者を対象とした3本のピボタル試験で構成されている。TIMES 2およびTIMES 3試験の登録も2018年下半期の完了が期待されている。

 6月に開催された第78回米国糖尿病学会(ADA)のサイエンスセッションでの口頭発表では、前臨床モデルにおける同剤の作用機序に関連した新たな知見が公表された。アブストラクトの表題は、「ImegliminのミトコンドリアPTP開口阻害によるIns-1細胞およびヒト膵島の高グルコースおよび高フルクトース誘発性細胞死からの保護」。

 「インスリンを分泌するβ細胞の消失が2型糖尿病の発症および進行に影響しています。今回の前臨床データから、細胞死に関与するミトコンドリアのチャネルmPTPの開口を阻害する独自の作用機序によって、フルクトースおよびグルコースが誘発する細胞毒性によるβ細胞の細胞死に対して"Imeglimin"が防御機能を有することが確認されました」と、学会発表者の1人でもあるグルノーブルアルプス大学のEric Fontaine教授は述べている。

 さらに、「これらのデータをこれまでのさまざまな臨床および前臨床試験で報告されたβ細胞の保護作用およびβ細胞の機能に対する有益な効果と組み合わせると、Imegliminは2型糖尿病を治療するだけでなく、その進行を著しく遅らせる可能性があることも強調されました」としている。

Imeglimin-Japan/Asia(Poxel)

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