新規インスリン「Faster-acting insulin aspart」が1型・2型糖尿病の食後血糖コントロールを改善

 新しい第3a相試験の結果、新規の超速効型インスリン アスパルト製剤(faster-acting insulinaspart)は、「ノボラピッド®注」(インスリン アスパルト)と比較して、1型糖尿病患者においてHbA1cを有意に低下させ、2型糖尿病患者において同程度にHbA1cを低下させ、1型および2型糖尿病患者ともに、食後血糖(PPG)コントロールを改善させることが示された。
この「faster-acting insulin aspart」と「ノボラピッド®注」を比較したTreat to Target試験である「onset 1」「onset 2」の結果は、第76回米国糖尿病学会年次学術集会(ADA2016)で発表された。
 「Faster-acting insulin aspart」は、ノボ ノルディスクが開発中のボーラスインスリン。インスリン アスパルト(ノボラピッド®注)の新しい製剤で、初期の吸収速度を高め、かつ血糖降下作用の発現をさらに早めるため、2つの添加剤(ビタミンとアミノ酸)が添加されている。成人1型と2型糖尿病患者における食後の血糖コントロールを改善すると期待されている。ノボ ノルディスクは米国と欧州で承認申請中で、日本での開発段階は第3相。
1型糖尿病患者では有意にHbA1cを低下、2型糖尿病では非劣性
 成人1型糖尿病患者を対象とした「onset 1」において、無作為割り付け26週後、「faster-acting insulin aspart」の食前投与は、「ノボラピッド®注」と比較して、HbA1cを有意に低下させた(-0.15、95%CI -0.23~-0.07)。

 また、「faster-acting insulin aspart」を食事開始後20分に投与した時も、食前に「ノボラピッド®注」を投与した時と比較して、同程度のHbA1c低下作用を示した(0.04、95%CI -0.04~0.12)。

 「Onset 1」ではまた、「ノボラピッド®注」と比較して、有意な食後2時間血糖増加量の改善が示された(-0.67mmol/L、95%CI -1.29~-0.04mmol/L)。セカンダリーエンドポイントである食後1時間血糖増加量も改善された(-1.18mmol/L、95%CI -1.65~-0.71)。

 成人2型糖尿病患者を対象とした「onset 2」では、HbA1cの低下作用において、「faster-acting insulin aspart」は「ノボラピッド®注」に対して非劣性を示した(-0.02mmol/L、95%CI -0.15~0.10mmol/L)。

 「onset 2」では、有意な食後2時間血糖増加量の改善を確認することができなかった(-0.36mmol/L、95%CI -0.81~0.08mmol/L)。しかし、セカンダリーエンドポイントである食後1時間血糖増加量は、「faster-acting insulin aspart」で統計学的に有意な改善が示された(-0.59mmol/L、95%CI -1.09~-0.09)。

 「Onset 1」と「onset 2」において、「faster-acting insulin aspart」でもっともよくみられた有害事象は低血糖だった。しかし、1型および2型糖尿病患者において、「ノボラピッド®注」と比較して、重大あるいは確定低血糖の発現頻度に有意差は認められなかった。
食後血糖コントロールの改善が治療の課題
 Onsetプログラムは、1型および2型糖尿病患者2,100人以上が参加した4つの試験からなるfaster-acting insulin aspartの第3相臨床プログラム。

 「Onset 1試験」は、1,143人が参加した(無作為割り付け)、「faster-acting insulin aspart」(食前あるいは食事開始後20分投与)を「ノボラピッド®注」(食前投与)と比較した、26週+26週、無作為割り付け、一部二重盲検、Basal-Bolus療法、Treat to Target試験。

 両群とも、成人1型糖尿病患者を対象にベーサルインスリンとの併用下で行われた。最初の26週の試験のデータのみ、今回の学会で発表された。プライマリーエンドポイントは、「ノボラピッド®注」と比較したベースラインからのHbA1cの変化量で、セカンダリーエンドポイントは「ノボラピッド®注」と比較した食後2時間血糖増加量のベースラインからの変化量だった。

 「Onset 2試験」は、689人が参加した(無作為割り付け)、「faster-acting insulin aspart」を「ノボラピッド®注」と比較した、26週、無作為割り付け、二重盲検、Basal-Bolus療法、Treat to Target試験。両群とも、成人2型糖尿病患者を対象に、ベーサルインスリンとメトフォルミンの併用下で食前投与した。プライマリーエンドポイントは、「ノボラピッド®注」と比較したベースラインからのHbA1cの変化量で、セカンダリーエンドポイントは「ノボラピッド®注」と比較した食後2時間血糖増加量のベースラインからの変化量だった。

 「1型あるいは2型糖尿病患者の多くは、食事時の急峻な血糖値の上昇(グルコーススパイク)を頻繁に経験し、その結果、食後高血糖に至ることが分かっている。onset 1と2の両試験から、faster-acting insulin aspartがHbA1cと食後血糖コントロールの改善を示したことに期待が持てる」と、「Onset 1」と「onset 2」の治験医師であるブルース ボード氏(エモリー大学臨床准教授)はコメントしている。

第76回米国糖尿病学会(ADA2016)
[Terahata]

関連ニュース

2017年12月11日
DPP-4阻害薬による非炎症型「水疱性類天疱瘡」の86%が特定のHLA遺伝子を保有 糖尿病治療薬によるリスク因子を調査
2017年12月11日
【連載】糖尿病デバイス革命「予測低血糖自動注入停止型インスリンポンプ 『MiniMed 640G』」を公開
2017年12月08日
「ランタスXR」がインスリン デグルデクとの直接比較試験で主要目的を達成
2017年12月08日
トレシーバに切り替えることで低血糖の発現率が67%低下 投与量の増加も抑制
2017年12月08日
週1回投与のGLP-1受容体作動薬「セマグルチド」が米国で承認
2017年11月28日
「BD マイクロファインプラス 32G × 6mm ペン型注入器用注射針」発売 マイクロファインプラスは4種類に 日本BD
2017年11月27日
「ジャディアンス」が末梢動脈疾患を合併した成人2型糖尿病患者の心血管死リスクを減少
2017年11月27日
2型糖尿病患者の残薬に関する調査 残薬がある患者は「楽観的志向」や「治療あきらめ志向」が多い
2017年11月27日
増殖糖尿病網膜症に対する「エミクススタト塩酸塩」の臨床第2相試験 網膜の低酸素状態を抑制
2017年11月21日
糖尿病の食事療法を継続するためのポイント 食を楽しみながら成功に導く

関連コンテンツ

糖尿病情報スクランブル 新着記事

編集部注:
  • 海外での研究を扱ったニュース記事には、国内での承認内容とは異なる薬剤の成績が含まれています。
  • 2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で表わすようになりました。過去の記事は、この変更に未対応の部分があります。ご留意ください。
ページのトップへ戻る トップページへ ▶