1型糖尿病の自己免疫を抑制する治療の進歩 ADA2016

 1型糖尿病の主な発症機構は、自己免疫を基礎とした膵β細胞の破壊だ。自己免疫性を防ぎ、1型糖尿病の進行を緩和あるいは抑制する治療の実現を目指して、米国で複数の臨床試験が進行している。第76回米国糖尿病学会(ADA)年次学術集会で「1型糖尿病の自己免疫を抑制する治療の進歩」と題したシンポジウムが開催された。
 イマチニブ(IL-2)の自己免疫疾患抑制効果が注目されている。Jay S. Skyler氏(マイアミ大学ミラー医学部)は、自己免疫によりβ細胞が攻撃されるのを防御するのを強化する多面的なアプローチを研究。Thomas Malek氏(マイアミ大学ミラー医学部)は1型糖尿病成人を対象とした12ヵ月間の第2相試験を報告し、イマチニブが外因性インスリンを減らすのに貢献する可能性が示された。

 Teplizumabは初期段階で自己免疫疾患を抑えて、1型糖尿病の進行をブロックする治療薬として期待されている。T細胞の表面にあるCD3分子は、自己免疫反応の標的となる。TeplizumabにはCD3に働きかけ、β細胞が免疫機構によって破壊されるのを防ぐ作用がある。Michael Haller氏(フロリダ大学糖尿病研究所)は、TeplizumabにT細胞を抑制する作用のある抗胸腺細胞グロブリン(ATG)を併用したパイロット研究を報告。Haller氏は自己免疫疾患抑制に関する臨床試験の進行が想定より遅れていることを認めつつ、「1型糖尿病を一次予防する治療も視野に入れ研究を進めている」と述べている。

 下記はADAのシンポジウム「1型糖尿病の病態生理学は小児と成人では異なる」を紹介したビデオ。
第76回米国糖尿病学会(ADA2016)
[Terahata]

関連ニュース

2016年07月04日
糖尿病治療の流れと最適な治療薬の選択 「リラグルチド」の心血管アウトカム試験の結果から
2016年06月21日
「人工膵臓」がさらに進化 血糖コントロールを最適化するための挑戦 ADA2016
2016年06月21日
「植物性食品」が中心の食事スタイルが2型糖尿病リスクを減少させる ADA2016
2016年06月20日
積極的な血糖コントロールが網膜症を半分に減少 ACCORDのフォローアップ研究「ACCORDION」
2016年06月20日
新規インスリン「Faster-acting insulin aspart」が1型・2型糖尿病の食後血糖コントロールを改善
2016年06月20日
糖尿病を止めよう(Stop Diabetes) 先進的な5件の研究プログラムに資金助成 ADA2016
2016年06月20日
血糖値をコントロールする脂肪の高活性代謝作用を発見 バンティング賞を受賞
2016年06月17日
GLP-1受容体作動薬「リラグルチド」が心血管イベントの合併を抑制 LEADER試験の結果がADAで発表
2016年06月17日
「糖尿病自己管理教育」(DSME)を高める環境整備が必要 ADA2016
2016年06月17日
1型糖尿病の自己免疫を抑制する治療の進歩 ADA2016

関連コンテンツ

糖尿病情報スクランブル 新着記事

編集部注:
  • 海外での研究を扱ったニュース記事には、国内での承認内容とは異なる薬剤の成績が含まれています。
  • 2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で表わすようになりました。過去の記事は、この変更に未対応の部分があります。ご留意ください。
ページのトップへ戻る トップページへ ▶