糖尿病は21世紀の流行病 "見えない疾患"にどう立ち向かうか ADA2016
2016.06.16
「糖尿病は21世紀の"流行病"と呼ばれるようになったが、その深刻さの度合いに対し、医療者や社会の認知はまだ十分ではない。例えば、がんや心臓病、エイズなどの死亡率の高い病気に比べると、認知の度合いはまだ低いのが現状だ」と、米国糖尿病学会の医療・サイエンス部門部長であるDesmond Schatz氏(フロリダ大学糖尿病研究所)は言う。
「米国の糖尿病関連の医療は今後20年間で7兆ドルを超えると予測されている。糖尿病は世界中で山火事のように猛威を振るっているが、そのことに気付いている人は十分に増えていない」という。
ハリス世論調査によると、米国人の大半は「糖尿病は、糖尿病である患者自身の問題であり、他者や社会集団によって個人に押し付けられたスティグマのようなものだ」と考えている。しかも糖尿病の有病率は上昇を続けているにもかかわらず「多くの人が糖尿病について適切な知識をもっていない」。
糖尿病に携わる医療者は血糖コントロールと糖尿病合併症の関連や、合併症と医療費の関連について知っているが、血糖コントロールの目標を達成できている患者は少数だ。患者の自己管理能力を高めるための教育が困難を伴うことに多くの医療者は頭を痛めている。
「ADAの年次学術集会には世界トップクラスの知性が集まっているが、会場の外ではどうだろうか? 研究者間で情報を共有し糖尿病医療の進歩をはかると同時に、社会のより多くの階層に呼びかけコラボレーションしていくことが重要だ」と指摘している。
糖尿病は"見えない疾患" どう治療し立ち向かうか
第76回米国糖尿病学会(ADA2016)
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]