2. 糖尿病人口の増加
糖尿病人口の多寡は診断基準値の変化によって変ってくるが、一般人口の血糖値の変化をみても、年々上昇傾向がみられ、また敗戦直後の食糧難を切り抜けるために行った栄養状態および食餌摂取実態調査の延長にある厚労省の調査でも、糖尿病人口(HbA
1c 6.1%以上)が増加している。
さて、糖尿病の治療も多様化しており、それを理解し適切に対処するのも困難になっている。また高血圧の治療と大きく異なる点は、食事摂取が患者さんに任せられていることである。糖尿病の主病態である高血糖は、僅かの食事の超過でも影響を受けて大きく変動する。患者さんは理屈ではそれ以上を食べてはいけないことはわかっていても、食欲はそれよりも強い。また、そこに生甲斐もあると思うよりないので、収容所生活でなければ理屈通りの治療は困難である。