高周波の脊髄刺激療法で糖尿病神経障害の痛みが緩和 9割が50%以上の疼痛緩和

脊髄刺激療法で糖尿病神経障害の痛みが緩和
 糖尿病神経障害による痛みに対する脊髄刺激療法の有効性が報告された。50%以上の疼痛緩和を示したレスポンダーが約9割に達したという。米アーカンソー医科大学のErika Petersen氏らが、第19回米国疼痛医学会仮想会議(11月20~22日)で報告した。

 糖尿病患者の約20%が糖尿病神経障害を発症すると報告されており、慢性疼痛により生活の質(QOL)が低下している患者が少なくない。この痛みに対して、低周波の脊髄刺激療法(Spinal Cord Stimulation;SCS)が試みられたが、長期的に有意な改善は認められなかった。一方、予備的な検討から、10kHzという高周波のSCS(10kHz SCS)が痛みを緩和する可能性が示されている。

 今回の発表は、10kHz SCSの安全性と有効性を検証するための、多施設ランダム化比較試験として進行している臨床試験の中間解析結果。この研究の対象は、糖尿病神経障害の罹病期間が12カ月以上で、下肢痛レベルがビジュアルアナログスケール(VAS)で平均5以上の患者216人。HbA1cが10%を上回る患者、上肢痛のVASレベルが3以上の患者、オピオイド使用量がモルヒネ換算120mg/日を超えている患者は除外されている。

 全体を「通常療法群」(103人)と、通常療法に10kHz SCSを上乗せする「SCS群」(113人)にランダムに群分けし、24カ月にわたり追跡。主要評価項目は、神経脱落症状が悪化せずにVASが50%以上低下したレスポンダーの割合、および安全性。なお、ベースラインにおいて両群間に、年齢、性別、人種、糖尿病および糖尿病神経障害の罹病期間、HbA1cなどに有意差はなかった。

 3カ月経過時点の中間解析の結果、治療に関連する有害事象がSCS群で2件(いずれも感染症)発生した。通常療法群に有害事象は見られなかった。レスポンダーの割合は、通常療法群が7%、SCS群は89%であり、有意差が認められた(P<0.001)。その他、副次的評価項目である、睡眠の質や治験担当医が評価した感覚障害レベルなども、SCS群で有意な改善が認められた。

 Petersen氏らは、「これらの中間解析の結果は、従来の治療に抵抗性の痛みを伴う糖尿病神経障害の患者にとって、10kHz SCSが有望な治療法であることを示唆している」と述べている。

 なお、本研究は上記のとおり現在も継続進行中であり、今回の報告は最終的なものではない。また、発表者のうち数名が医療機器企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

[HealthDay News 2020年11月10日]

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[Terahata]
編集部注:
  • 海外での研究を扱ったニュース記事には、国内での承認内容とは異なる薬剤の成績が含まれています。
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