【新型コロナウイルス感染症】医師会が「医療的緊急事態」を宣言 人工呼吸器の台数が足りなく、集中治療のマンパワーも不足
2020.04.07
日本医師会は「医療危機的状況宣言」を発表
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大が医療現場に大きな負担を与えている。
日本医師会は4月1日に「医療危機的状況宣言」を発表。「欧米諸国では感染の拡大が止まらず、日本も油断すると同じような状況になる」危機感をつのらせ、「COVID-19以外の患者に対しても治療を続ける必要がある。医療者が感染すれば現場を離れざるを得なくなり、国民に適切な医療を提供できなくなる。染防御具をはじめとする医療品も不足している」と危機感をつのらせた。
改正新型インフルエンザ等対策特別措置法にもとづく緊急事態宣言を出されれば、対象となった都道府県の知事は強い権限をもち、臨時の医療施設開設のために土地・建物を同意なしに使用したり、必要な医薬品や食品などを収用したりできるようになる。
東京都医師会は「医療的緊急事態宣言」を発表

「1人も新しい感染者がいなくなれば、2週問で新規患者が激減し、その2週間後には感染している患者も激減し、さらに2週間後には街で感染している入はほとんどいなくなります。今から6週間、皆さんが誰からもうつされないように頑張れば、東京は⼤きく変わります」というメッセージを出した。 さらに、次の課題に対応するために活動することを重視している。
「中等症患者受け入れ病床を増やすために、その病院を指名し、病棟単位で新型コロナ感染症を受け入れるよう指示すべき」。
「宅療養は家庭内感染など不十分な面が多く、軽症患者の入院外療養を進めるべく、ホテルなどの療養施設を有効に使うべき。そのためにはオンラインで観察のできる設備、体温瀞、モニター類の整備が必要」。
「感染患者の受け入れ応力をアソプしたうえで、PCR検査の件数を増加させ、早く感染症患者を拾い上げる必要がある」。
「長期療養を強いられているPCR陽性患者のメンタルケアなどの施策も必要」。
人工呼吸器の台数が足りなく、集中治療のマンパワーも不足している
日本麻酔科学会と日本集中治療医学会は4月3日に共同声明を出し、2つの学会が共同で対応し気道管理と人工呼吸管理を拡充することを発表した。 両学会は会員に対して呼吸不全患者に対する人工呼吸管理や集中治療に関するトレーニングや助言を行い、今後拡大していくCOVID-19による呼吸不全患者に対応していくとしている。 日本集中治療医学会の西田修理事長は、「イタリアでは集中治療を受けることなく多くの人々が亡くなっているのが現状です。イタリアは高齢者が多いことも死亡者が多いことの原因と考えられますが、日本ではイタリアよりも高齢化が進んでいるにもかかわらず、人口10万人あたりのICUのベッド数は5床程度です。これはイタリアの半分以下であり、死者数から見たオーバーシュートは非常に早く訪れることが予想されます」と、危機感をつのらせる。 「現在、日本には約6,500床ほどのICUベッドがあると推定しますが、約4倍のマンパワーが必要であること、他の重症患者の受け入れも必要であることを考えると、このままでは、実際に新型コロナウイルス感染症の重症患者を収容できるベッド数は1,000床にも満たない可能性があります。無理に収容すると感染防御の破綻による院内感染、医療従事者の感染、集中治療に従事する医療スタッフの肉体的・精神的ストレスが極限に達します。この状態を避けるためのあらゆる手段を講じる必要がありますが、これは、単に人工呼吸器の台数などの問題ではなく、マンパワーのリソースが大きな問題であることは明白です」と、強調している。 日本医師会 新型コロナウイルス感染症東京都医師会 新型コロナウイルス感染症情報
日本集中治療医学会 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連情報
関連情報
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療所・病院におけるプライマリ・ケアのための情報サイト(日本プライマリ・ケア連合学会)
- 新型コロナウイルス感染症 診療の手引き(第1版)
令和元年度厚生労働行政推進調査事業費補助金 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業
一類感染症等の患者発生時に備えた臨床的対応に関する研究
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]