「フレイル健診」が4月からスタート 75歳以上の後期高齢者のフレイル対策を強化 保健指導と介護予防を一体化

 75歳以上の後期高齢者を対象とした、フレイルの予防・重症化予防に着目した健診、いわゆる「フレイル健診」が、今年の4月から始まる。
 「6ヵ月間で2~3kg以上の体重減少がありましたか」「以前に比べて歩く速度が遅くなってきたと思いますか」といった15項目の質問で構成される「後期高齢者の質問票」が健診に導入される。
高齢者の保健指導と介護予防を一体的に実施 フレイル対策を強化
 厚生労働省は、後期高齢者を対象に行う健診で活用されている現行の質問票に代わるものとして、フレイルの状態になっているかチェックする「後期高齢者の質問票」を2020年度より導入する。

 後期高齢者については、フレイルに陥るリスクを抱えていることから、現役世代のメタボリックシンドローム対策と異なり、フレイルに着目した疾病予防・重症化予防の取組みとして、運動、口腔、栄養、社会参加などのアプローチを進める必要がある。

 こうした状況をふまえ、厚労省は2015年の医療保険制度改革で、後期高齢者の保健事業について、「高齢者の心身の特性に応じ、保健事業を行うよう努める」「健康教育や健診に加え、保健指導・健康管理、疾病予防に係る本人の自助努力に対する支援を行う」ことを求めた。
「高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン 第2版」を公表
 こうした流れを受け、「高齢者の保健事業のあり方検討ワーキンググループ」は2019年10月に、「高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン 第2版」を公表。

 ガイドラインは、基本的な考え方を示した「総括編」と、保健事業の実施内容・方法・手順と、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施の手順などをまとめた「実践編」に分かれている。

 実践編では、「事業の企画・調整・分析・評価などを行う人材と、通いの場などへの関与や個別訪問などの支援を行う医療専門職が必要になる」として、保健師や管理栄養士、歯科衛生士などの医療専門職が加わり、取組みの充実をはかるよう求めている。

 ガイドラインには別添資料として「後期高齢者の質問票の解説と留意事項」が付いている。フレイル健診に関わる各質問についてエビデンス、統計、留意事項などが詳細に記載されている。

 厚労省研究班「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施推進のための後期高齢者の質問票活用に向けた研究(研究代表者:津下一代)」の成果を参考にして作成された。

高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン 第2版
「後期高齢者の質問票」で高齢者の健康状態を把握
 高齢者(とくに後期高齢者)は複数の疾患をもつほか、フレイルやサルコペニア、認知症なども進行しやすい。ガイドラインでは、こうした高齢者の特性をふまえた保健事業を実施することを求めている。

 従来の特定健診(40~74歳が対象)の「標準的な質問票」は、メタボリックシンドローム対策に着目した質問項目が設定されており、高齢者の特性を把握するものとしては十分ではなかった。

 「後期高齢者の質問票」は、フレイルなど高齢者の特性をふまえて健康状態を総合的に把握するという目的から、(1)健康状態、(2)心の健康状態、(3)食習慣、(4)口腔機能、(5)体重変化、(6)運動・転倒、(7)認知機能、(8)喫煙、(9)社会参加、(10)ソーシャルサポート――の10類型を示している。

 さらに、これまでのエビデンスや保健事業の実際、回答高齢者の負担を考慮し、15項目の質問で構成されている。

後期高齢者の質問票
類型名No質問文回答
健康状態1あなたの現在の健康状態はいかがですか ①よい ②まあよい ③ふつう ④あまりよくない ⑤よくない
心の健康状態2毎日の生活に満足していますか①満足 ②やや満足 ③やや不満 ④不満
食習慣31日3食きちんと食べていますか①はい ②いいえ
口腔機能4半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか ※さきいか、たくあんなど①はい ②いいえ
5お茶や汁物等でむせることがありますか①はい ②いいえ
体重変化66ヵ月間で2~3kg以上の体重減少がありましたか①はい ②いいえ
運動・転倒7以前に比べて歩く速度が遅くなってきたと思いますか①はい ②いいえ
8この1年間に転んだことがありますか①はい ②いいえ
9ウォーキング等の運動を週に1回以上していますか①はい ②いいえ
認知機能10周りの人から「いつも同じことを聞く」などの 物忘れがあると言われていますか①はい ②いいえ
11今日が何月何日かわからない時がありますか①はい ②いいえ
喫煙12あなたはたばこを吸いますか①吸っている ②吸っていない ③やめた
社会参加13週に1回以上は外出していますか①はい ②いいえ
14ふだんから家族や友人と付き合いがありますか①はい ②いいえ
ソーシャルサポート15体調が悪いときに、身近に相談できる人がいますか①はい ②いいえ

回答内容を国保データベース(KDB)に収載
質問票を用いた評価は、健診を多くの高齢者にアプローチができる機会とらえ、健診の際に活用されることを想定している。さらには、市町村の介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)での通いの場や、かかりつけ医の医療機関など、さまざまな場面で評価されることも想定している。
(1)健診の場で実施する
(2)通いの場(地域サロンなど)で実施する
(3)かかりつけ医(医療機関)などの受診の際に実施する

 「後期高齢者の質問票」の回答内容は2020年度から国保データベース(KDB)に収載される予定で、今後はKDBから抽出した医療・健診・介護情報と質問票の回答を連動することで、高齢者を必要な保健事業や医療機関受診へつなぎ、地域で多面的に支えることを目指している。

高齢者の保健事業のあり方検討ワーキンググループ(厚生労働省)
[Terahata]

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編集部注:
  • 海外での研究を扱ったニュース記事には、国内での承認内容とは異なる薬剤の成績が含まれています。
  • 2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で表わすようになりました。過去の記事は、この変更に未対応の部分があります。ご留意ください。
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