チアゾリジン薬が免疫細胞を抑制し炎症から保護 マクロファージの損傷を抑えることが判明

 チアゾリジン薬に炎症をコントロールする免疫細胞を抑制する可能性があることが、ペンシルベニア大学医学大学院の研究で示された。チアゾリジン薬により免疫システムの燃料を制御し、マクロファージの損傷に歯止めをかけられるという。
チアゾリジン薬がPPARγに作用 グルタミンの代謝を促進
 チアゾリジン薬が、マクロファージがエネルギーを発生させるために使用する代謝の燃料を制御することで、強力なチェック機能を発揮することが、ペンシルベニア大学医学大学院の研究で明らかになった。マクロファージの異常反応を防ぐことで、組織炎症による肥満や2型糖尿病の発症を抑制できる可能性がある。

 細胞組織が損傷を受けるとき、最初の炎症性免疫システム反応のひとつであるマクロファージが、損害を受けた組織を取り除いて修復を開始する。しかし、炎症が長期に及ぶと肥満や2型糖尿病などが進行しやすくなる。

 糖尿病治療に一般的に用いられているチアゾリジン薬が、マクロファージがエネルギーを発生させるために使用する代謝物(燃料)をコントロールする、強力なチェック機能を発揮することが明らかになった。

 ペンシルベニア大学医学大学院糖尿病研究所のディレクターであるMitchell Lazar氏によるこの研究は、「Genes and Development」に7月13日付けで掲載された。

 エネルギーの過剰摂取や栄養過多は、脂肪の蓄積を導引し、細胞組織に損傷を与える。このとき、マクロファージが患部組織に浸潤し遊離脂肪酸を隔離、代謝ストレスが起こると損害を受けた組織を修復するのを助けるプロテクターとして作用する。しかし、長時間のストレスにさらされるとマクロファージの炎症が活性化し、肥満を原因とする2型糖尿病、アテローム硬化症、心血管疾患などの全身疾患が促進する。

 チアゾリジン薬は核内受容体のPPARγに作用し、脂肪細胞の分化を促進、肥大化した脂肪細胞を正常の小型脂肪細胞に置き換える。さらに、マクロファージに対する抗炎症作用があることは以前から知られていた。マクロファージが活性化し抗炎症作用と細胞の損傷を癒合するためにPPARγが重要な作用をする。「今回の研究では、PPARγがマクロファージの代謝を通じて制御されているかを確かめたかった」と、論文の共同著者のVictoria Nelson氏は言う。

 研究チームは、チアゾリジン薬がPPARγに作用し、マクロファージ活性化に必要なプロティンによるブロックであるアミノ酸(グルタミン)の代謝を促進することを突き止めた。PPARγが不足すると、マクロファージはグルタミンをエネルギー源として使用できず、炎症性刺激の影響を受けやすくなる。

 「今回得られた所見は、肥満や2型糖尿病などの全身性の炎症を伴う疾患に、チアゾリジン薬を使用する治療戦略が有効であることを裏付けるものだ」と、Lazar氏は述べている。

Diabetes drugs act as powerful curb for immune cells in controlling inflammation(ペンシルベニア大学医学大学院 2018年7月27日)
PPARγ is a nexus controlling alternative activation of macrophages via glutamine metabolism(Genes & Development 2018年7月13日)
[Terahata]

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