メトホルミン服用の患者 癌死・発癌とも減少 国立国際医療研究センター

 国立国際医療研究センターは、メトホルミンと癌との関連について解析し、「メトホルミンを服用していた糖尿病患者では、服用していなかった患者と比較して癌死・発癌とも確率が確実に減少していた」との研究結果を発表した。

 糖尿病の人は糖尿病でない人と比べて癌になったり癌で死亡したりする可能性が高いことが以前から報告されてきている。しかし研究方法の違いや分析対象者の偏りのために確実な研究はなかった。国立国際医療研究センターの研究チームは、論文として発表された研究結果を再分析することで精度の高い統合結果を出す研究を行い、糖尿病では癌が増加するという解析結果をこれまでに報告しているが、今回は、糖尿病治療薬であるメトホルミンと癌との関係について解析した。論文は英文医学誌「PLoS ONE」に3月20日付けで発表された。
糖尿病と癌の関連性 世界の論文を解析
 近年、糖尿病治療薬によって癌の危険性が左右される可能性が着目されている。研究チームは、今回は古くから使用されているメトホルミンという糖尿病治療薬による癌予防効果を検証した。

 メトホルミンは、ビグアナイド薬(BG薬)に分類される2型糖尿病治療薬。肝臓の糖を作る働きを抑えると同時に、筋肉などでの糖の利用を促して、総合的に血糖値を低下させる。

 研究チームは、2011年10月12日時点で英文誌に発表されていたメトホルミンと癌の関連性に関する論文をデータベースから検索し、その中から妥当性の高い研究を精選しメタアナリシスという統計手法で統合解析した。メタアナリシスとは複数の研究結果をコンピュータを使用して一つの研究としてまとめ上げる分析手段。

 メトホルミン服用と癌死の関連性を報告した論文6件の対象者は総数2万1,195人で、うち4.5%の人が癌で死亡した。糖尿病と発癌の関連性を報告した論文10件の対象者は総数21万892人で、そのなかの5.3%の人が癌を発症した。

 統合解析の結果、メトホルミンを服用していた糖尿病患者では、服用していなかった患者と比較して癌死・発癌とも確率が確実に減少していた(癌死倍率0.66倍、発癌倍率0.67倍)。さらに臓器ごとの発癌率を解析したところ、メトホルミン服用者では大腸直腸癌(倍率0.68倍)、肝臓癌(倍率0.20、肺癌(倍率0.67倍)が確実に低下していた。

 世界的に、糖尿病患者では癌が増加することが判明している。今回の研究チームの研究で、メトホルミンによりその癌の危険性が減少する可能性が示された。「しかしメトホルミンで癌の危険性が減る仕組みは不明であり、今までの研究報告内容には偏りや限界が少なくないので、最終結論はまだ出せない。より妥当性の高い長期研究による確証が切望される」としている。

国立国際医療研究センター 糖尿病情報センター 糖尿病・代謝症候群診療部
Cancer Risk in Diabetic Patients Treated with Metformin: A Systematic Review and Meta-analysis.
PLoS ONE 7(3): e33411. doi:10.1371/journal.pone.0033411

[Terahata]

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