2010年度グッドデザイン賞「プレシジョン エクシードプロ」 昨年度の「ポケットランセット」に続き受賞
2010.11.26
アボットジャパンの「プレシジョン エクシード プロ」が、2010年度グッドデザイン賞に選ばれた。同社では昨年度も「ポケットランセット」が受賞対象となっており、2年連続の受賞となった。
院内測定用血糖測定器「プレシジョン エクシード プロ」
日本産業デザイン振興会主催の「2010年度グッドデザイン賞」は9月に発表された。アボットジャパンの「プレシジョン エクシード プロ」は、医療施設に入院している糖尿病患者向けの血糖測定器。グッドデザイン賞では医療関連機器設備の分野で受賞した。 血糖測定を簡単かつスピーディー、安全に実施するために開発された。本体は人間工学に基いた設計で、握りやすくボタン配列も工夫している。 単なる院内専用血糖測定器としての使用だけではなく、院内で血糖測定を実施するプロセスにも着目した。バーコード認証システムを搭載し「誰が(どの看護師が)」「誰を(どの患者を)」「いつ」血糖測定したかという情報と「血糖値」データを一元管理できる。 これにより、従来看護師等の転記漏れや転記ミス、患者の取り間違いなどの人的オペレーションミスの防止にも役立てられる。また、専用のソフトでの精度管理や、専用マネジメントシステムによる院内電子カルテとの連携を可能にし、リアルタイムな治療に活用できる。ポケットランセット
単回使用自動ランセット「ポケットランセット」
一方、2009年度グッドデザイン賞を受賞した「ポケットランセット」は、糖尿病患者が血糖測定する際に採血をするための針。使い捨てできる単回使用のディスポーザブルタイプで安全性が高く、痛みが少なくかつ必要十分量の採血が確保できることなどが特徴となる。 ディスポーザブルランセットは使い捨てという構造上、感染が起こりにくいが、以前は多くが病院内でのみ使用され、痛みも強いものが多かった。しかし、2008年に個人専用穿刺器具が複数患者間で使い回しされていたとの厚生労働省からの実態調査報告を受け、感染等の潜在リスクを最小限にすることが求められるようになった。 「ポケットランセット」は、痛みを軽減しつつ、十分な採血量を確保するために穿刺の深さのバランスを追究し、高い安全性を目指し開発された。 操作が簡単な設計になっており、患者が覚えやすく、医療スタッフも指導しやすい。これにより血糖測定導入にかかる負担や時間を軽減することができる。また、院内で使用されている感染対策が施されたものと同等のものを患者が使用することで、自宅でも安心して血糖測定を実施できるようになった。 グッドデザイン賞の審査委員からは「ポケットランセット」について、「血糖測定に用いる穿刺器具の使い回し事故は、使用済みか否かが患者は無論、医療従事者にも分かり難いという課題があった。このポケットランセットは先端保護キャップを切り取ること、上部の針プッシュ部が本体に嵌入し戻らないことで使用前後の形態が変化する特徴を持つ。この誰もが明確に使用済みであることが認識できるデザインおよび全体の形状を穿刺器具を思わせない優しいデザインとなっている」と評価された。 アボットジャパン株式会社 ダイアベティスケア事業部[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]