糖尿病の食事療法に「個別化」が求められる 食を楽しみながら食事を継続 第18回病態栄養セミナー・レポート
2019.12.11
宅配食サービス「健康宅配」を展開する武蔵野フーズは、医療従事者向けに「第18回病態栄養セミナー」を開催した。糖尿病の食事療法を良好に続けるために必要な知識を、専門家が解説した。
第18回病態栄養セミナー・レポート
宅配食のメリットは、(1)栄養の基準値を厳守しながらも、食材は豊富に使用、(2)工夫された日替わり献立や味のおかげで、飽きることがなく、心理的負担も少ない、(3)1人分の食事を別に準備する負担がないことなど。食事療法の一環として、食事管理をしっかりでき、食べる実感をもてる宅配食は利用価値が高い。
武蔵野フーズの宅配食は、1食のおかずを250kcalに、塩分を1食あたり2g(小さじで1/2弱)に調整した冷蔵の宅配食だ。
「健康宅配」は、管理栄養士がバランスの良い献立を作り、味付けに改良が重ねられ、食材もエコファーマ認定を取得した指定農家から調達した野菜を使用し、工夫されている。
治療食は一般的には味が薄い料理が多いが、「健康宅配」は低塩分ながら、数種類の出汁をいかし、しっかりとした味作りになるよう工夫されている。
当日は、武蔵野フーズが提供する宅配食サービス「健康宅配」ランチの試食会も開催された。試食会に参加した管理栄養士からは「おいしいと思う」という感想が多数寄せられた。
食事療法は治療の基本
武蔵野フーズは、糖尿病の食事療法への理解を深める目的で、10月に都内で「第18回病態栄養セミナー」を共催した。
第1部 講演「実践‼カーボカウント」-カーボカウント指導のコツ-
髙橋德江 先生(順天堂大学医学部附属浦安病院 栄養科 課長補佐)
1型糖尿病における食事療法として、カーボカントが広く用いられるようになってきた。カーボカウントの血糖コントロールに対する有用性を検討した研究では、通常の治療を続けた患者に比べ、カーボカンウトを実施した患者では、血糖コントロールが有意に改善することが確かめられている。
食物の中でもっとも急激な血糖上昇を起こすのが炭水化物であることに着目し、食事中の炭水化物量を計算して糖尿病の食事管理に利用するのが、カーボカウントの考え方だ。
炭水化物量の量と血糖値からインスリン量を決定することで、ある程度自由度のある食生活が可能になる。炭水化物に気を配るのに加えて、タンパク質や脂質など、その他の栄養バランスや摂取量について確認し、体重の変動をチェックすることも大切だ。
髙橋氏はカーボカウントの実践法を詳しく解説。食事のバランスを調整しつつ、自分の体に見合った食事の方法をみつけていくことが重要だという。糖尿病だからといってとにかく食事を制限し、楽しみをなくしてしまうと、食事療法が続かなくなってしまうと指摘している。
髙橋德江 先生(順天堂大学医学部附属浦安病院 栄養科 課長補佐)
第2部 講演「療養指導に役立つ! 2型糖尿病治療の考え方」
税所芳史 先生(慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科 専任講師)
2型糖尿病患者においてβ細胞量が減少していることが、最近の研究で明らかになり、「β細胞障害」は1型、2型糖尿病に共通した病態であると考えられるようになってきた。
肥満、過食、運動不足によって過度の負担がかかると、β細胞の「過労死」が起こってくる。とくに日本人は欧米人に比べてわずかな肥満で2型糖尿病を発症することが分かっている。
税所氏は、糖尿病治療の課題は「低血糖を起こさない」「体重増加を起こさない」「高インスリン血症を起こさない」「食後高血糖を起こさない」ことだと指摘。「いかに生理的なインスリン分泌を回復もしくは再現できるか」が重要だという。
糖尿病治療では、できる限りβ細胞障害を抑え、その負担を減らすことが必要となる。β細胞の機能を回復・保護するために、肥満やインスリン抵抗性を改善することが重要だ。食事や運動などの生活改善は、残されたβ細胞を守り、「過労死」の連鎖を断ち切る最善の方法となる。
食事療法を良好に継続することはとりわけ重要だ。食事療法を長期にわたり続けるために、安全性とともに日本の食文化や患者の嗜好性についても配慮することが必要となる。大切なのは、カロリー、バランス、続けやすさであり、食事療法の考え方は糖尿病患者だけでなく、健康な人にも勧められる。
税所芳史 先生(慶應義塾大学医学部 内科学教室 腎臓内分泌代謝内科 専任講師)
食事療法に求められること
糖尿病治療の大きな柱である食事療法のポイントは、まず摂取エネルギー量を適正範囲内にコントロールし、炭水化物・脂質・タンパク質をバランス良く、規則的に摂取することだ。塩分摂取量の目標を1日6g未満にすることもポイントとなる。 糖尿病治療の最大の目的は合併症の予防だ。食事療法は、どのような治療を行っている患者でも必ず行わなければいけない治療の基本となる。食事療法を正しく理解し実行することで、血糖コントロールを良い状態に保てれば、合併症の発症や進展を抑えられる。 食事療法をしっかり守れば、糖尿病の血糖コントロールの目標であるHbA1c7.0%未満を目指すのは難しくない。一方で、食事療法が「とにかく大変」「覚えることが多くて難しい」「わずらわしい」と感じる患者は少なくない。 そんな人でも、宅配食サービスを利用すれば、食事療法を安心して続けることができる。宅配食メーカーの努力によって、プロの管理栄養士によりエネルギー量や栄養のバランスが調整された治療食のメニューが豊富に用意されている。食事管理をしっかりでき、食べる実感をもてる宅配食
「冷蔵食」と「冷凍食」から選べる宅配食
メニューも冷蔵食と冷凍食から選べ、豊富で飽きがなく、毎日続けられる食事セットだ。日替わりメニューの冷蔵食「すこやか膳」は、「魚メイン」「肉メイン」「色々バラエティー」から選べる。冷凍食の「健康美膳」は「和のおかず」「おまかせ和洋中」「肉のおかず」「魚介おかず」「バラエティ」から選べる。 「健康宅配」のサービスは1997年に開始され、これまで20年間のノウハウを蓄積し、現在は1日に8,000食以上が提供され、利用者は10万人を超えた。 「健康宅配」は衛生管理が徹底された工場で製造されており、商品開発から製造、宅配まで一貫体制で提供されており、衛生管理された工場で素材の下ごしらえ・調理・盛り付けから包装までおいしさにこだわっている。宅配食を食事療法の「栄養教材」に
宅配食は調理いらずで、面倒なエネルギー計算やタンパク質制限の必要がない。食事を全て完璧に自分で作るのはとても大変だが、料理済み食品を上手に取り入れると、食事療法を無理なく、ストレスをためずに続けることができる。
とくに、食生活の改善を、「忙しいから」「難しいから」といった理由で避けてきた人たちにとっても、摂取エネルギー量を満たす食材のボリュームや味付けなどを具体的に体験できる点で、宅配食は強力な「栄養教育」の教材となる。
宅配食を1〜2ヵ月間続ける、毎月10日間だけ利用してみるといった方法でも、ほとんどの人は治療食のノウハウをマスターして、無理なく安全に食事をコントロールできるようになる。
「健康宅配」は、管理栄養士や医療従事者からも高く評価されている。市場調査などを手掛ける日本マーケティングリサーチ機構(JMRO)の調査で、「管理栄養士がお勧めしたい宅配食」「医療関係者がお勧めしたい宅配食」「リピート満足度」の3部門で第1位になった。
武蔵野フーズ 健康宅配オンラインショップ
糖尿病食、腎臓病食などの食事療法は健康宅配
糖尿病食、腎臓病食などの食事療法は健康宅配
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]