「急性腎障害」(AKI)を防止するキャンペーンを開始 NSAIDsなど3剤併用によってリスクが上昇 滋賀医科大学病院
2018年08月24日
滋賀医科大学病院糖尿病内分泌・腎臓内科と薬剤部は、滋賀県の慢性腎臓病医療連携推進事業の一環として、急性腎障害(AKI)の発症を防止するキャンペーンを開始した。
「非ステロイド性抗炎症薬」(NSAIDs)、「利尿薬」、「ACE阻害薬」または「アンジオテンシンII受容体拮抗薬」(ARB)の3剤併用によってAKIの発症リスクが高まると注意を呼び掛けている。
「非ステロイド性抗炎症薬」(NSAIDs)、「利尿薬」、「ACE阻害薬」または「アンジオテンシンII受容体拮抗薬」(ARB)の3剤併用によってAKIの発症リスクが高まると注意を呼び掛けている。
3剤併用を目にした時には必要に応じて疑義照会を
急性腎障害(AKI)は、腎機能が数時間から数日の間に急激に低下する状態。尿から老廃物を排泄できなくなり、さらに体内の水分量や塩分量など(体液)を調節することができなくなる。

高年齢、慢性腎不全(CKD)、心不全、高血圧の患者ではリスクが上昇

「CKDシール」で腎障害を引き起こす薬剤をチェック
「薬によって腎障害が引き起こされた症例を実際に経験している。腎機能がもともと低下している患者や、糖尿病患者、高齢者など、急性腎不全の発症の危険の高い患者には注意が必要。副作用や相互作用、薬物動態の知識をもつ薬剤師なら一元管理ができる。かかりつけ薬局で複数医療機関の処方の組み合わせをチェックし、必要に応じて疑義照会してほしい」と、同院糖尿病内分泌・腎臓内科准教授の荒木信一氏は指摘している。
滋賀県と滋賀医科大は、腎臓病の領域で医師と薬剤師が連携してきた土壌がある。かかりつけ医と専門医との連携を推進するために、専門医への紹介基準の啓発や、かかりつけ医と専門医の連携体制の構築を推進。医療連携ツールの運用や、「CKDシール」の発行など、多職種連携を進めてきた。
「CKDシール」は、腎機能が低下した患者のお薬手帳の表紙にシールを貼付することで、腎機能に応じた投与量や薬剤選択を薬局薬剤師がチェックするよう促すもの。腎障害を引き起こす薬剤は、添付文書中の"禁忌"の確認はもとより、腎機能に応じた投与量・間隔の調節が必要とされる。CKDシールによって、腎機能が低下した患者を認識でき、腎機能を考慮しながら処方内容のチェックや疑義照会ができるという。
滋賀医科大学 医学部附属病院 薬剤部STOP!AKI(滋賀医科大学 医学部附属病院 薬剤部)
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