急性心腎症候群の管理 ~虚血ストレスマーカー L-FABPの可能性~

第81回 日本循環器学会学術集会(ランチョンセミナーより)

急性心不全患者は腎機能低下を伴う場合が多く、救急医療においては「急性心腎症候群」として捉えて介入しなければ良好な予後を期待しがたい。しかし、たとえ腎機能低下に留意していてもその診断が遅ければ、やはり予後への影響が避けられない。
従来、腎機能が低下した結果として生じる血清クレアチニンの上昇や尿量低下を指標に急性腎不全を診断しているが、尿細管機能マーカーを用いることで、より早期の診断が可能になりつつある。2016年に策定された『AKI診療ガイドライン』においても新規バイオマーカーの有用性が取り上げられている。
本セミナーでは、急性心腎症候群アウトカム改善のために求められる的確な腎機能評価に向け、それらバイオマーカーの可能性を、日本医科大学武蔵小杉病院循環器内科教授/集中治療室室長の佐藤直樹氏に講演いただいた。
古家 大祐 氏(金沢医科大学 糖尿病・内分泌内科学教授)

座長:古家 大祐 氏(金沢医科大学 糖尿病・内分泌内科学教授)

佐藤 直樹 氏(日本医科大学武蔵小杉病院循環器内科教授/集中治療室室長)

演者:佐藤 直樹 氏(日本医科大学武蔵小杉病院循環器内科教授/
集中治療室室長)

急性心不全は、ほぼ急性心腎症候群と同義と考え、治療戦略を立てる

 我々が約10年前に開始した急性心不全の多施設共同調査「ATTENDレジストリー」の4,000人超の患者データを、単純に入院時のeGFR50mL/分/1.73m2で二分し院内死亡率を比較すると、それだけで2倍以上の開きが生じる(図1)。また生存退院し得ても腎機能障害(eGFR<60mL/分/1.73m2)が残存していると、1年後の死亡または再入院率が20%と予後不良である1)。このようなデータから言えることは、急性心不全はほぼ急性心腎症候群と同義だということであり、そのように捉えて治療戦略を立てなければ予後の改善は期待できない。そこで本日は、日本腎臓学会、日本集中治療医学会など5学会共同で2016年に策定された『AKI診断ガイドライン2016』を随時参照しながら急性心不全のマネジメントを考えてみたい。

図1  ATTENDレジストリーにおける入院時eGFRと院内死亡率の関係

〔PLoS ONE 9(9):e105596,2014〕

図1 ATTENDレジストリーにおける入院時eGFRと院内死亡率の関係

次は...
腎機能低下を確認してAKI発症を判断するという診断法への疑問

[dm-rg.net]

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