【新型コロナ】コロナ禍でHbA1c検査の実施数が減った 透析予防やフットケアなども減少 患者の94%は「予定通り受診する」

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大の影響を受けた2020年に、HbA1c検査の実施数が減っていたことが、東京大学などが国内186の病院を対象に行った調査で明らかになった。透析予防やフットケアなど、重症化予防の糖尿病ケアの実施数も減った。
 一方で、電話やPCなどを通じたオンライン診療の利用に対し関心をもつ患者は増えている。
コロナ禍でHbA1c検査の実施数が減少 重症化予防の検査も減少
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の2020年の流行時、糖尿病のケアが重症化予防(透析予防、フットケアなど)も含めて減少していことが、大規模診療データベースを用いた分析で明らかになった。

 研究は、東京大学大学院医学系研究科・公衆衛生学教室の宮脇敦士助教、池洲諒医師(博士課程)、小林廉毅教授のチームが、メディカル・データ・ビジョンの中村正樹氏、データックの二宮英樹氏、および国立国際医療研究センター研究所 糖尿病情報センターの杉山雄大室長と共同で行ったもの。研究の詳細は、米国の総合内科雑誌「Journal of General Internal Medicine」に掲載された。

 COVID-19の感染リスクを警戒して、2020年4月に1回目の緊急事態宣言が発令される前後には、糖尿病患者が定期受診を延期するケースがみられた。糖尿病ケアの実施数が減少すると、公衆衛生上、重大な影響を与える可能性があるが、糖尿病ケアの実施数が実際にどの程度、減少していたかは分かっていなかった。

 そこで研究グループは、メディカル・データ・ビジョンが構築した国内最大規模の急性期病院の診療データベースを使用し、2020年年初にあたる同年第2~8週と、同年の同緊急宣言が発令されていた期間の前半を含む第9~17週目の間に、外来診療で実施された1週間当たりの糖尿病患者の定期検査およびケアの実施数を186の病院で比較した。

 その結果、糖尿病患者が定期的な血液検査で測定されるHbA1c検査の1週間あたりの実施数は、2020年第2~8週に5万2392件/週だったのが、同年第9~17週には4万4406件/週となり、15.2%減少した。HbA1cは過去1~2ヵ月の血糖値の平均を反映しており、血糖コントロールの指標となる。

 その他にも、血清クレアチニン検査、尿タンパク検査、眼底検査、糖尿病フットケアサービス、および糖尿病腎ケアサービス(透析予防)を含むすべての検査およびケアの実施数も減少したことが明らかになった。

コロナ禍で糖尿病のケアが重症化予防(透析予防、フットケアなど)も含めて減少
出典:データック、2021年
ビッグデータがより良い医療体制づくりに役立つ
 「COVID-19の感染拡大にともない、COVID-19以外に関する医療提供体制や患者受診行動に大きな変化が起きました。それらの変化の中には"感染収束後には戻る一時的な変化"と"感染収束後も続く永続的変化"があります」と、二宮医師は述べている。

 「後者に関しては、例えばオンライン診療やウェアラブルデータを用いた診療など、将来的に起きつつある変化が、今回を契機に一気に加速したものも含まれています」。

 「リアルワールドデータは万能ではありませんが、私たちは医療の変化を定量的に捉えることで、より良い医療提供体制や政策に対して貢献をしていきたいです」としている。

 「(コロナ禍の前後で)糖尿病患者の血糖値コントロールがどのくらい悪くなったのか(それとも変わっていないのか)が今後の検討課題になります」と、東大大学院の宮脇助教はコメントしている。
9割超が予定通り受診「病院が感染対策を徹底しているので不安はない」
 メディカル・データ・ビジョンが、COVID-19拡大で政府が発令した2度目の緊急事態宣言をふまえて、患者対象に行ったアンケートでは、「病院が感染対策を徹底しているので不安はない」などとして、9割超が予定通り医療機関を受診する意向であることが示された。

 調査は、同宣言が発令された2021年1月7日~12日までの6日間、健康・医療情報を自ら管理できるPHR(パーソナルヘルスレコード)システム「カルテコ」の利用者を対象にウェブで実施。

 同宣言発令後の医療機関の受診をどうするかを849人に聞いたところ、「予定通り受診する」が93.6%だった。

 その理由として、「前回(昨年4月)の緊急事態宣言発令では延期したが、結局は受診しなくてはならなかったため」「病院は感染防止対策を徹底しているから不安はない」「処方されている薬がなくなると困るため」「病気の悪化、再発が心配なため」「病院で採血して現在の検査値を知りたいから」などといった声が聞かれた。

 医療機関に行かなくていい電話やPCなどを通じたオンライン診療の利用を検討しているかどうかについて聞いたところ、「検討している」が約4割で、「検討していない」は3割弱だった。

メディカル・データ・ビジョン調べ
出典:メディカル・データ・ビジョン、2021年

Trends in Diabetes Care during the COVID-19 Outbreak in Japan: an Observational Study(Journal of General Internal Medicine 2021年1月19日)

東京大学大学院医学系研究科・公衆衛生学教室

メディカル・データ・ビジョン

データック

国立国際医療研究センター研究所 糖尿病情報センター

⽇本医師会総合政策研究機構(⽇医総研)

日本医師会 J-DOME:Japan medical association Database Of clinical MEdicine
[Terahata]

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編集部注:
  • 海外での研究を扱ったニュース記事には、国内での承認内容とは異なる薬剤の成績が含まれています。
  • 2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で表わすようになりました。過去の記事は、この変更に未対応の部分があります。ご留意ください。
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