ビタミンDレベルが2型糖尿病リスクと逆相関

2020.11.13
 血清ビタミンDレベルが高いほど、2型糖尿病の発症リスクが低いという関連が報告された。この関連は、良好な睡眠が得られている人で、より顕著であるという。北京大学のMengying Wang氏らの研究によるもので、詳細は「Diabetes Care」11月号に掲載された。

 これまでにも、ビタミンDレベルが2型糖尿病の発症リスクと関連するという報告があるが、研究結果に一貫性が見られない。一方、ビタミンDによる睡眠障害の改善を示唆する報告も存在する。そこでWang氏らは、血清ビタミンD〔25-ヒドロキシビタミンD(25OHD)〕値と2型糖尿病の新規発症との関連、および、その関連に睡眠習慣が影響を及ぼしているかを検討した。

 この研究には、英国のバイオバンクのデータが用いられた。糖尿病でない35万211人を抽出し、8.1年間(中央値)追跡。血清25OHDと睡眠関連指標、および睡眠に関する遺伝的変異との関連を解析した。睡眠関連指標には、睡眠時間、不眠症、いびき、クロノタイプ(朝型か夜型か)、および日中の眠気という5つの項目が含まれ、それぞれのスコアによって睡眠パターンの質を評価した。

 追跡期間中に6,940人が2型糖尿病を発症した。多変量解析の結果、25OHD高値は2型糖尿病発症リスクが低いことと有意に関連していた。具体的には、血清25OHDが10nmol/L高いごとのハザード比が0.88(95%信頼区間0.87~0.90)であった。

 また、25OHDと睡眠パターンの間には、2型糖尿病発症リスクに対する有意な交互作用が認められ(P=0.002)、25OHDと2型糖尿病発症リスクの逆相関は、健康的な睡眠パターンの人でより顕著だった。睡眠関連指標の中では、日中の眠気が25OHDと最も強い交互作用を示した(P=0.0006)。つまり、日中に眠気を催す頻度が少ない人は、その頻度が高い人に比べて、25OHDが高いことで2型糖尿病発症リスクがより大きく低下すると考えられた。なお、睡眠に関する遺伝的変異は、25OHDと2型糖尿病発症リスクとの関係に有意な影響を及ぼしていなかった。

 著者らは、「この研究結果は、25OHDが高いほど2型糖尿病の発症リスクが低くなることを示している。またその関係は睡眠パターンによって変化し、中でも日中の眠気の影響が強い」と結論付けている。その上で、「この知見が追試により確認された場合は、睡眠障害のある人、特に日中に眠気を催しやすい人では、ビタミンD摂取が2型糖尿病発症予防戦略の1つになるかもしれない」と述べ、今後の研究に期待を表している。

[HealthDay News 2020年9月2日]

関連情報

Copyright ©2020 HealthDay. All rights reserved.

糖尿病・内分泌プラクティスWeb 糖尿病・内分泌医療の臨床現場をリードする電子ジャーナル

尿病関連腎臓病の概念と定義 病態多様性 低栄養とその対策
小児・思春期1型糖尿病 成人期を見据えた診療 看護師からの指導・支援 小児がんサバイバーの内分泌診療 女性の更年期障害とホルモン補充療法 男性更年期障害(LOH症候群)
神経障害 糖尿病性腎症 服薬指導-短時間で患者の心を掴みリスク回避 多職種連携による肥満治療 妊娠糖尿病 運動療法 進化する1型糖尿病診療 糖尿病スティグマとアドボカシー活動 糖尿病患者の足をチーム医療で守る 外国人糖尿病患者診療
インクレチン(GLP-1・GIP/GLP-1)受容体作動薬 SGLT2阻害薬 NAFLD/NASH 糖尿病と歯周病 肥満の外科治療 骨粗鬆症 脂質異常症 がんと糖尿病 クッシング症候群 甲状腺結節 原発性アルドステロン症
エネルギー設定の仕方 3大栄養素の量と質 高齢者の食事療法 食欲に対するアプローチ 糖尿病性腎症の食事療法
糖尿病薬を処方する時に最低限注意するポイント(経口薬) GLP-1受容体作動薬 インスリン 糖尿病関連デジタルデバイス 骨粗鬆症治療薬 二次性高血圧 1型糖尿病のインスリンポンプとCGM

医薬品・医療機器・検査機器

糖尿病診療・療養指導で使用される製品を一覧で掲載。情報収集・整理にお役立てください。

一覧はこちら

最新ニュース記事

よく読まれている記事

関連情報・資料