握力は糖尿病発症リスクの独立した予測因子 簡便で低コストな臨床ツールに

握力は糖尿病発症リスクの独立した予測因子
 握力が2型糖尿病新規発症リスクと独立して関連するとの報告が「Annals of Medicine」9月3日オンライン版に掲載された。英ブリストル大学のSetor K. Kunutsor氏らの研究によるもので、特に女性において、既知のリスク因子に握力を追加することで新規発症予測能が向上することが分かった。

 糖尿病新規発症のリスク因子としては、加齢、肥満、家族歴、運動不足、喫煙、多量飲酒などが知られており、それらを組み合わせたリスク予測モデルも、既に複数開発されている。しかし、既知のリスク因子を持たない人からも糖尿病が発症することがあり、予測精度向上の余地が残されている。

 Kunutsor氏らは、フィンランドで実施された虚血性心疾患リスクに関する研究(Kuopio Ischemic Heart Disease study)のデータを用い、握力による2型糖尿病新規発症予測能を評価した。研究対象者は60~72歳で糖尿病の既往のない地域住民776人(平均年齢69±3歳、男性47.2%、BMI27.9±4.3)。

 中央値18.1年の追跡期間中に、59人が2型糖尿病を発症した。年齢と性別で調整後、ベースライン時の握力が1標準偏差高いことによる糖尿病新規発症ハザード比(HR)は0.38(95%信頼区間0.24~0.57)となった。調整因子に空腹時血糖値、HDL-C、収縮期血圧、喫煙・身体活動状況、糖尿病の家族歴を追加してもHR0.49(同0.31~0.80)であり、リスク低下と有意な関連が維持されていた。

 また、DESIR研究から開発された糖尿病発症予測モデルの因子で調整した場合はHR0.54(同0.31~0.95)、同様にKORA S4/F4研究から開発されたモデルの因子で調整した場合はHR0.53(同0.29~0.97)であり、やはり有意だった。さらに、これらのモデルに予測因子として握力を追加した場合に、予測能が有意に上昇することも確認された。感度分析により、以上の結果は、女性において握力による糖尿病新規発症予測能が優れていることによるものであることが分かった。

 著者らは、「握力測定は簡便で低コストであり、2型糖尿病の高リスク者を早期に特定するための重要な臨床ツールになり得る」と述べている。

[HealthDay News 2020年9月15日]

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[Terahata]
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