フォシーガの第3相DAPA-CKD試験の主要結果を発表 慢性腎臓病患者の生存期間を延長したはじめてのSGLT2阻害剤に 欧州心臓病学会2020

 アストラゼネカは、SGLT2阻害薬「フォシーガ」(一般名:ダパグリフロジン)の、2型糖尿病合併の有無に関わらず、慢性腎臓病患者を対象とした腎アウトカム試験(第3相DAPA-CKD試験)で、腎機能の悪化、心血管死または腎不全による死亡のいずれかの発生による複合評価項目がプラセボと比較して39%低下したと発表した。
 「フォシーガ」は、慢性腎臓病患者の生存期間を有意に延長したことを示したはじめてのSGLT2阻害剤となった。
腎不全への進行、心血管死または腎不全による死亡リスク低下で前例のない結果に
 「DAPA-CKD」試験は、2型糖尿病合併の有無に関わらず、慢性腎臓病ステージの2~4、かつ、アルブミン尿の増加が確認された4,304例の慢性腎臓病患者を対象に、フォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)投与による有効性と安全性をプラセボと比較検討した、国際多施設共同無作為化二重盲検比較試験。

 同試験は日本を含む21ヵ国で実施され、結果の概要は2020年7月に発表された。また、同試験の主要な結果は、欧州心臓病学会2020 - The Digital Experienceで8月30日に発表された。

 主要複合評価項目は、慢性腎臓病患者での腎機能の悪化もしくは死亡(eGFRの50%以上の持続的低下、末期腎不全への進行、心血管死、腎不全による死亡)のいずれかの発生と定義された。

 副次的複合評価項目には 腎機能の悪化もしくは死亡(eGFRの50%以上の持続的低下、末期腎不全への進行、腎不全による死亡)、心血管死もしくは心不全による入院、および全死因死亡のいずれかの初発までの期間と定義された。

 その結果、第3相DAPA-CKD試験で、慢性腎臓病患者を対象に標準治療に加えてフォシーガ(一般名:ダパグリフロジン)を投与したところ、腎機能の悪化、心血管死または腎不全による死亡のいずれかの発生による複合評価項目がプラセボと比較して39%低下したことが示された(p<0.0001)。この結果は、2型糖尿病合併の有無に関わらず一貫していた。

 主要複合評価項目では、絶対リスク減少率(ARR)は中央値2.4年の試験で5.3%だった。試験ではまた、プラセボと比較して全死亡のリスクを有意に31%低下する(ARR = 2.1%、p=0.0035)など、全ての副次的評価項目を達成しました。

 「このDAPA-CKD試験の素晴らしい結果は、慢性腎臓病患者にとって注目に値する進歩です。これらの結果は、新しく、かつ、より効果的な治療選択肢が強く望まれている慢性腎臓病の標準治療を変える可能性があります」と、DAPA-CKD試験とその治験運営委員会の共同代表者であるロンドン大学ユニバーシティ・カレッジのDavid Wheeler教授とオランダのGroningen大学医療センターのHiddo L. Heerspink教授は述べている。

 「フォシーガは、2型糖尿病合併の有無に関わらず、慢性腎臓病患者の生存期間を有意に延長したことを示したはじめてのSGLT2阻害剤となりました。フォシーガはまた、2型糖尿病合併の有無に関わらず、心不全と慢性腎臓病の両方で治療ベネフィットを示し、2型糖尿病での心不全による入院リスクおよび腎症リスクを低下することができる、同クラスではじめての薬剤です」と、同社では述べている。

 同剤の安全性および忍容性は、本剤の確立された安全性プロファイルと一致していた。同試験での重篤な有害事象の発現は、プラセボ群で33.9%、フォシーガ群で29.5%だった。糖尿病性ケトアシドーシスの発現は、プラセボ群で2例、フォシーガ群では報告されなかった。

 同剤は2020年5月、米国で2型糖尿病合併の有無に関わらず左室駆出率が低下した成人心不全(NYHA心機能分類:II~IV)の心血管死および心不全による入院のリスク低下に対する承認を取得した。

 また現在は、心不全患者を対象としたDELIVER試験(左室駆出率が保持された心不全:HFpEF)、DETERMINE試験((HFrEFおよびHFpEF)、ならびに急性心筋梗塞(MI)または心臓発作発症後の非2型糖尿病患者を対象としたDAPA-MI試験が進行中。DAPA-MI試験は、この種の試験でははじめてとなる適応症追加を目的としたレジストリに基づく無作為化比較対照試験だ。

 なお、日本でのフォシーガの承認された適応症は「2型糖尿病」および「1型糖尿病」であり、慢性腎臓病、HFrEF、HFpEF、急性心筋梗塞発症後のイベント抑制を効能・効果とした承認は取得していない。

アストラゼネカ
[Terahata]

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