DPP-4阻害薬「スイニー」にLDLコレステロール低下作用 スタチン服用中のハイリスク2型糖尿病患者で

 スタチンを服用しているハイリスクの2型糖尿病患者に、DPP-4阻害薬を1年間投与した臨床試験で、「スイニー(一般名:アナグリプチン)」に、血糖降下作用に加え、LDLコレステロールを減少させる作用があることが、兵庫医科大学や琉球大学の研究で明らかになった。2つの効果をもつ薬剤は合併症の多い患者の多剤服用の減少につながると期待される。
LDLコレステロールを減少させる作用がある糖尿病治療薬が判明
 研究は、兵庫医科大学臨床疫学の森本剛教授、琉球大学大学院医学研究科臨床薬理学の植田真一郎教授らの研究グループによるもの。研究成果は「Scientific Reports」の電子版に掲載さた。

 対象となったのは、スタチンを8週間以上服用中のハイリスク2型糖尿病患者。患者をランダムに2つのグループに分けて、「アナグリプチン」もしくは「シタグリプチン」をそれぞれ1年間投与した。投与開始から各グループの患者の血中LDLコレステロール値を3ヵ月ごとに計測し、またHbA1c値のあわせて分析した。

 両剤ともDPP-4阻害薬であり、よく似た作用機序をもつにもかかわらず、「アナグリプチン」グループでは「シタグリプチン」グループよりもLDLコレステロール値が有意に低下した。

 「アナグリプチン」グループでは3ヵ月目からLDLコレステロール値が低下し、評価期間の最後まで維持された。52週のLDLコレステロールの平均値は、「シタグリプチン」が111.7mg/dL(ベースラインからの変化量は+2.1mg/dL)だったのに対し、「アナグリプチン」は107.8mg/dL(同-3.7mg/dL)だった。管理目標であるHbA1c値はどちらのグループも良好な結果になった。
アナグリプチン群でLDLコレステロール値が低下(52週試験)
 2型糖尿病の患者は心臓病や脳卒中を起こす危険性が高く、すでにスタチンを服用している患者に、特定の糖尿病治療薬を投与することでLDLコレステロール値をさらに下げることを示した今回の研究は、多剤服用を回避できる可能性を示唆している。

 「この新しい糖尿病治療薬は副作用としてLDLコレステロールを下げる作用が治験データから示唆されたことから、日常診療の中で臨床試験を行って検証した。副作用の中には患者にとって有益なものもあることが分かり、新たな発見となった」と、森本教授は言う。

 「今回の研究は糖尿病薬の治験で、プラセボとの比較試験でたまたま認められたコレステロールへの作用が現実の診療のなかで標準的な治療と比べても認められるか、という困難な課題に取り組んだもの。海外での糖尿病薬の製造承認はアウトカム試験をやらないと認めてもらえず、この薬も日本だけで販売されているものなので、その点で論文化には時間がかかった」と、植田教授は述べている。

Randomized Evaluation of Anagliptin vs Sitagliptin On low-density lipoproteiN cholesterol in diabetes (REASON) Trial: A 52-week, open-label, randomized clinical trial(Scientific Reports 2019年6月12日)
[Terahata]

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編集部注:
  • 海外での研究を扱ったニュース記事には、国内での承認内容とは異なる薬剤の成績が含まれています。
  • 2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で表わすようになりました。過去の記事は、この変更に未対応の部分があります。ご留意ください。
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