ジャディアンスとDPP-4阻害薬を比較したリアルワールド研究「EMPRISE」 入院リスクの低下および入院期間の短縮と相関

 「EMPRISE」研究は、SGLT2阻害薬エンパグリフロジンとDPP-4阻害薬を比較したリアルワールド研究。研究開始から2年間の最初の3万5,000人を対象とした米国の結果が、マネージドケア薬学会(AMCP)および米国心臓病学会(ACC)で発表された。
 AMCPで、ジャディアンス(一般名:エンパグリフロジン)はDPP-4阻害薬と比較して、全ての入院、および救急や外来での再受診の低下と相関することが示された。また、ACCで、ジャディアンスはDPP-4阻害薬と比較して、心不全による入院あるいは全死亡リスク低下と相関し、骨折または下腿切断リスクの上昇とは相関しないことが示された。
入院リスクの低下および入院期間の短縮と相関 心不全による入院または全死亡リスクの低下も
 ベーリンガーインゲルハイムとイーライリリー・アンド・カンパニーは、リアルワールドの観察研究「EMPRISE」における医療資源の利用と安全性に関する結果を発表した。同研究では、ジャディアンス(一般名:エンパグリフロジン)はDPP-4阻害薬と比較して、全ての入院のリスクの22%の低下と相関することが明らかになった。なお、追跡調査期間中央値は5.4ヵ月だった。

 「EMPRISE」研究は、「EMPA-REG OUTCOME」試験の結果を補完し、日常診療におけるジャディアンスの包括的な臨床像を示すことを目的に2016年に開始された。同研究では、米国内でのジャディアンスの使用開始から5年間にあたる、2014~2019年を評価対象としている。

 研究終了までに、米国の2つの民間の医療供給者とメディケアを利用する20万人を超える2型糖尿病患者の組み入れを計画している。2019年以降は、アジアとヨーロッパ地域を含む研究で、日常診療でのジャディアンスのベネフィットに対する知見を提供する予定。

 今回の発表では、入院患者のうち、ジャディアンスを投与された患者は、DPP-4阻害薬を投与された患者に比べ、早期に退院したことが示された(各群1万7,539例)。さらに、ジャディアンスはDPP-4阻害薬と比較して、救急来院や外来での再受診の低下と相関することが示された。

 評価対象となったのは米国のデータのみで、EMPRISE研究の開始から2年間を観察期間とした今回の結果は、米国で開催されたマネージドケア薬学会(AMCP)の年次集会で発表された。

 この結果は、EMPA-REG OUTCOME試験の、心血管疾患既往2型糖尿病患者において、ジャディアンスがプラセボと比較して全ての入院のリスクを11%低下させたというデータを裏付けるものだ。

 「糖尿病患者は、そうでない人に比べ、理由を問わず入院の可能性が高く、入院期間が長期化し費用がかかる傾向があるめ、医療資源に多大な影響が及ぶ可能性がある。EMPRISEの結果から、ジャディアンスの投与が2型糖尿病患者における入院リスクの低下および、入院期間の短縮と相関することが示された」と、ハーバード大学医学部およびブリガム・アンド・ウィメンズ病院薬剤疫学・薬剤経済学部門のMehdi Najafzadeh氏は言う。

 また、EMPRISE研究における有効性および安全性に関する結果は、先日開催された第68回米国心臓病学会(ACC.19)でも発表され、ジャディアンスはDPP-4阻害薬と比較して、心不全による入院または全死亡リスクの42%の低下と相関し、骨折または下腿切断のリスク上昇とは相関しないことが示された。

 これらの結果は、心血管疾患既往2型糖尿病患者において、ジャディアンスがプラセボと比較して、心不全による入院または心血管死のリスクを34%低下させ、ジャディアンスとプラセボ間で骨折や下肢切断に不均衡がみられなかったEMPA-REG OUTCOME試験の結果を裏付けるものとなった。

 なお、日本におけるジャディアンスの効能・効果は2型糖尿病であり、心血管イベントのリスク減少、慢性心不全に関連する効能・効果は取得してない。

ジャディアンス(ベーリンガーインゲルハイム ベーリンガープラス)
[Terahata]

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