1型糖尿病とシックデイの不安 連載「インスリンとの歩き方」
1型糖尿病患者の遠藤伸司さんによる連載「インスリンとの歩き方」では、第23回「シックデイの苦しみ」を公開しました。連載「インスリンとの歩き方」へ ▶

執筆者の遠藤さんは、中学生の頃に1型糖尿病を発症。以来、約30年間の療養生活の中で、留学や進学、就職、そして転職、プライベートまで幅広い経験を積み、なにかと無理をすることもあったようです。
連載では、そんな遠藤さんの半生を、糖尿病と上手につきあうためのコツやノウハウを中心に、実体験のエピソードを交えて語っていただきます。1型糖尿病患者さんをはじめ、2型糖尿病患者さん、糖尿病医療に携わる方々は、ぜひご一読ください。
自動車営業という山の頂上まで、あと少しのところだった。今は、明らかに胸突き八丁の8合目の正念場だった。仕事は正直つらかったが、ここまでくると、意地でも頂上を目指したくなってくる。1型糖尿病のことを考えれば、このまま突っ走ればどうなるか目に見えてはいたけれど、僕には下山などという勇気ある撤退の選択肢はなかった。
だから、会社には、休み返上で、ほとんど毎日出社していた。ときに、あのシックデイが起きてさえ、僕は休まず出社した。
シックデイと血糖値
シックデイになると、体は鉛のように重くなる。喉は腫れっぱなしになり、元々悪い僕の歯はグラグラと浮いた感じになり、そのため、食事など食べる気さえ起こらない。
食事を食べてないのだから、血糖値は上がらない気もするが、どういうわけかシックデイのときの血糖値は、食べ物を入れてないのに、つねに250mg/dLを超え、高かった。
もっと奇妙なのは、インスリンを打ってさえも、血糖値が下がる気配がまるでないことだった。
インスリンすら効かない体になってしまったのではないか、という根拠のない不安にかられたが、現実として、血糖値が上がりっ放しの状態だった。
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