2型糖尿病患者の残薬に関する調査 残薬がある患者は「楽観的志向」や「治療あきらめ志向」が多い
2017.11.27
日本イーライリリーは、経口糖尿病治療薬服薬中の2型糖尿病患者2,942名を対象に、残薬に関する調査を実施した。その結果、経口糖尿病治療薬について「残薬あり」と回答した2型糖尿病患者は33.1%に上り、残薬がある患者の服薬回数は「1日に3回以上」(40.2%)が最多となることが分かった。
3人に1人は残薬を医師に申告していない
患者が困っていることの1位は「薬の種類が多い」(26.3%)、2位「一度に飲む量が多い」(22.4%)、3位「タイミングを守ることが難しい」(17.5%)となり、薬の量や種類の多さ、服薬のタイミングに関する項目が上位となった。 さらに、医師に残薬があることを申告しているかを聞いたところ、残薬がある患者の34.7%は申告をしていないと回答した。 「病識・治療態度」と「生活スタイル・性格」に関する回答を、因子分析を用いて分析し、患者を6つのタイプに分けたところ、経口糖尿病治療薬の残薬が生じている患者には2つの傾向がみられた。 (1)「楽観的志向」自分は軽症で服薬管理は難しくないと考えており残薬が生じている患者。 (2)「治療あきらめ志向」
多忙なために服薬管理が難しいと考えて、現状にあきらめを感じており残薬が生じている患者。 また、処方されている経口治療薬すべて(経口糖尿病治療薬とそれ以外の薬)において、直近1ヵ月で医師の指示通りに服薬しなかったことがある患者に服薬しなかった理由を聞いたところ、(1)「特に理由はないが、ついうっかり忘れてしまう」(56%)、(2)「外出の際に持っていくのを忘れてしまう」(39%)、(3)「食事のタイミングが不規則で、飲むタイミングを逸してしまう」(24%)という結果になった。 2型糖尿病患者が治療に取り組む上で、食事のタイミングや外出などライフスタイルに課題を抱えている可能性があるとともに、残薬が生じる患者のタイプがあることが示唆された。 この結果について、横浜市立大学分子内分泌・糖尿病内科学教室教授の寺内康夫氏は、「忙しい現代社会の2型糖尿病患者は、不規則なライフスタイルなどが原因で、思い通りの薬物治療を継続できていない方がいることが分かった。服薬アドヒアランスを高めるためには、『服薬回数・種類の減少』や『一包化』などの対策とともに、患者と医療従事者の双方向のコミュニケーションを通じて、服薬遵守の重要性についての理解促進や、あきらめ感の払拭などが必要とされていることが考えられる」と述べている。 日本イーライリリー
[Terahata / 日本医療・健康情報研究所]