「セマグルチド」が心血管イベント発生リスクの高い2型糖尿病患者の主要な心血管イベントリスクを26%低下

第52回欧州糖尿病学会(EASD)
 ノボ ノルディスクは、新規のGLP-1アナログである「セマグルチド」(週1回皮下注射剤)を標準治療に追加投与した試験「SUSTAIN 6」において、セマグルチドがプラセボに対して、2型糖尿病患者の心血管死、非致死性心筋梗塞(心臓発作)または非致死性脳卒中の発生リスクを有意に26%低下させたと発表した。
週1回投与の新規のGLP-1アナログ「セマグルチド」
 ノボ ノルディスクは、心血管イベント発生リスクの高い成人2型糖尿病患者3,297人を対象に、新規のGLP-1アナログであるセマグルチド(週1回皮下注射剤)を標準治療に追加投与し、心血管死、非致死性心筋梗塞(心臓発作)または非致死性脳卒中のいずれかが最初に発現するまでの時間を主要複合エンドポイントとして評価した結果、セマグルチドはその発生リスクを、プラセボに対して統計学的に有意に26%低下させたと発表した。

 さらに、非致死性の脳卒中のリスクは統計学的に有意に39%低下し、また、統計学的には有意でないものの非致死性の心筋梗塞が26%低下した一方、治療後2年では心血管死のアウトカムには違いが認められなかった(2%のリスク低下)。

 セマグルチドは、血糖値に応じてインスリンの分泌を促進させ、同時にグルカゴンの分泌を抑制するだけでなく、食欲を抑制し食物摂取量を減らす、週1回投与の新規のGLP-1アナログ。日本での開発段階は第3相。

 「SUSTAIN 6」は、多施設、国際共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照の心血管アウトカム試験。心血管イベント発生リスクの高い成人2型糖尿病患者を対象に、セマグルチド(0.5mgおよび1.0mg)週1回投与を標準治療に加え、その心血管系リスクへの長期的な影響を、プラセボと比較した。標準治療は生活習慣の改善、血糖降下薬および心血管系治療薬で構成された。20ヵ国から3,297人の成人2型糖尿病患者が無作為に割り付けられ、104週間の治療を受けた。

 「SUSTAIN 6」から得られた主要な結果は、ミュンヘンで9月に開催された第52回欧州糖尿病学会(EASD)年次学術集会で発表され、「New England Journal of Medicine」に発表された。
「セマグルチド」が主要な心血管イベントリスクを26%低下
 「SUSTAIN 6」は2型糖尿病患者を対象として、市販前に初めて実施された心血管アウトカム試験で、非劣性を検証する、すなわち、標準治療に追加投与したとき、プラセボと比較してセマグルチドが主要な心血管イベント発生リスクを高めないことを示すためにデザインされた。プライマリーエンドポイントは、心血管死、非致死性の心筋梗塞、あるいは非致死性の脳卒中の最初の発現までの時間と定められた。

 今回のアウトカム試験で、標準治療に追加投与後104週の時点で、ベースラインの平均HbA1c8.7%から、プラセボ(0.5mgおよび1.0mg)では0.4%低下したのに対し、セマグルチド0.5mgおよび1.0mgでは、それぞれ1.1%および1.4%、有意に低下した。

 さらに、ベースラインの平均体重92.1kgから、プラセボ0.5mgおよび1.0mgでそれぞれ0.7kgおよび0.5kg減少したのに対し、セマグルチド0.5mgおよび1.0mgは、3.6kgおよび4.9kg、有意に減少させ維持させた。

 重篤な有害事象は、プラセボに対してセマグルチドで少なく、有害事象による投与中止は、セマグルチドでより多い結果となった。これは主に胃腸障害によるもので、膵炎の発現はプラセボと比較してセマグルチドで少なく、細小血管障害に関しては糖尿病腎症の新規発症あるいは悪化が認められた例数は、プラセボ(100例[6.1%])と比較してセマグルチド(62例[3.8%])で統計学的に有意に少なかった。糖尿病網膜症は、プラセボ(29例[1.8%])と比較してセマグルチド(50例[3.0%])で統計学的に有意に多く認められた。

 この結果は、254例で認められた最初の主要な心血管イベント(MACE: Major Adverse Cardiovascular Events)の累積データに基づいている。「SUSTAIN 6」をもって、セマグルチドは週1回投与(皮下注射)という用法で、成人2型糖尿病の適応を取得するための6つの臨床試験(第3a相)を終了した。
心血管イベントの発生リスクを低下させる新しい治療
 「SUSTAIN 6で、セマグルチドが心血管イベントの発生を低下させたことは、小規模の患者集団かつ短期間の試験ということを考えれば注目に値する。この結果は、心血管疾患が2型糖尿病患者の主な死因であり、また心血管イベントの発生リスクを低下させる可能性がある新しい治療の選択肢が必要とされていることから、臨床的に重要なことだ」と、「SUSTAIN 6」の治験医師であり、論文の筆頭著者でもあるスティーブン マルソ氏は述べている。

 「SUSTAIN 6の結果は、2型糖尿病治療において週1回投与のセマグルチドが強力なポテンシャルを有することを支持しており、年内の申請が楽しみだ。SUSTAIN 6の結果は、心血管系イベント発生リスクの高い成人2型糖尿病患者において、当社のGLP-1受容体作動薬のポートフォリオが血糖コントロールや体重減少に加えて新たなベネフィットを示すという臨床エビデンスをさらに強固にするものだ」と、ノボ ノルディスクのマッズクロスゴー トムセン氏は述べている。

 SUSTAIN(Semaglutide Unabated Sustainability in Treatment of Type 2 Diabetes)はセマグルチドの週1回投与(皮下注射)の第3a相臨床試験プログラムであり、合計7,000人以上の2型糖尿病患者を対象とした6つの国際共同試験と、合計約1,000人の2型糖尿病患者を対象とした2つの日本の試験より構成される。

Semaglutide and Cardiovascular Outcomes in Patients with Type 2 Diabetes(2016年9月16日 New England Journal of Medicine)
52nd EASD Annual Meeting 2016
ノボ ノルディスク ファーマ
[Terahata]

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編集部注:
  • 海外での研究を扱ったニュース記事には、国内での承認内容とは異なる薬剤の成績が含まれています。
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