ビクトーザの新たな試験結果 腎機能障害を伴う患者でも悪化はみられず

2014.06.25
第74回米国糖尿病学会年次学術集会で発表

 1日1回投与のGLP-1受容体作動薬「ビクトーザ」(一般名:リラグルチド)が、中等度の腎機能障害を有する成人2型糖尿病患者において、プラセボと比較して腎機能悪化のリスクを高めることなく血糖コントロールを改善させることを示す、新たな第3相臨床試験の結果が報告された。米サンフランシスコで開催された第74回米国糖尿病学会(ADA)学術集会で発表された。

 この試験は、277名の成人を対象とした多国籍(日本は含まれていない)の第3相臨床試験で、二重盲検無作為化比較対照試験として行われた。ステージ3の慢性腎臓病(eGFRが30-59mL/分/1.73m²)を有し、経口糖尿病薬、インスリン製剤、経口糖尿病薬とインスリン製剤の併用で治療を行っている患者を対象に、ビクトーザを26週投与し、有効性と安全性をプラセボと比較した(本試験における効能・効果、用法・用量は、国内での承認内容と異なる)。

 患者はビクトーザの最大用量1.8mg群またはプラセボ群に割り付けられた。26週投与し、主要評価項目はベースラインからのHbA1cの変化量、その他の評価項目はHbA1c7%未満の達成率、ベースラインからの体重変化量、腎機能はベースラインからのeGFRの変化量で検討した。

 その結果、プラセボ群と比較して、ビクトーザ投与群では平均HbA1c値の有意な改善がみられた(-1.05% vs -0.38%; ETD(群間差の推定値) -0.66% [-0.90;-0.43] p<0.0001)。また、HbA1cの目標値である7%未満を達成した患者も、プラセボ群19.5%に対して、52.8%と多く(p<0.0001)、ベースラインからの体重変化は有意な減少がみられた(-2.41kg vs -1.09kg、p<0.0001)。

 ビクトーザ投与による腎機能の悪化はみられず、低血糖もプラセボ群と比較して発現率が低かった。腎症は糖尿病患者によくみられる合併症だが、使用可能な糖尿病治療薬の選択肢は限られており、腎機能障害を伴う患者にも使える治療薬が求められている。

 本試験で発現頻度の高い有害事象は胃腸障害で、悪心(21.4% vs 4.4%)、嘔吐(12.1% vs 2.2%)、下痢(7.1% vs 2.9%)および便秘(5.7% vs 1.5%)だった。その他の有害事象(≥5%)は、腎機能障害(5% vs 5.8%)、通常は普通感冒と呼ばれる鼻咽頭炎(5% vs 11.7%)、頭痛(5% vs 2.9%)、リパーゼ上昇(15% vs 8.8%)および糸球体ろ過率の低下(6.4% vs 5.1%)だった。

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