DPP-4阻害薬などに低血糖のおそれ ドライバーへの投与では注意

2014.01.08
 厚労省医薬食品局は1月7日、新たに使用上の注意を要する作用が分かった医薬品について注意喚起するため、添付文書を改訂する指示を製薬企業に発出した。この中でDPP-4阻害薬やGLP-1受容体作動薬など糖尿病薬について、低血糖症状を起こすことがあり、自動車の運転などに従事する患者に投与する際は注意するよう追記させる。

 糖尿病薬で改訂が指示されたのは、同様の注意が記載されていなかった以下の成分を含有する医薬品(カッコ内は製品名、製造販売)。「重要な基本的注意」の項に「低血糖症状を起こすことがあるので、高所作業、自動車の運転等に従事している患者に投与するときには注意すること。」が追記される。

[DPP-4阻害薬]
アナグリプチン(スイニー錠、三和化学研究所)
アログリプチン安息香酸塩(ネシーナ錠、武田薬品工業)
シタグリプチンリン酸塩水和物(ジャヌビア錠、MSD/グラクティブ錠、小野薬品工業)
リナグリプチン(トラゼンタ錠、日本ベーリンガーインゲルハイム)
アログリプチン安息香酸塩・ピオグリタゾン塩酸塩(リオベル配合錠、武田薬品工業)
サキサグリプチン水和物(オングリザ錠、協和発酵キリン)

[GLP-1受容体作動薬]
リキシセナチド(リキスミア皮下注、サノフィ)
リラグルチド(ビクトーザ皮下注、ノボ ノルディスク ファーマ)

[その他]
アカルボース(グルコバイ錠、バイエル薬品) *ジェネリックあり
ボグリボース(ベイスン錠、武田薬品) *ジェネリックあり
ミグリトール(セイブル錠、三和化学研究所)
ピオグリタゾン塩酸塩(アクトス錠、武田薬品工業) *ジェネリックあり

 これらは総務省の2013年3月の行政勧告を受け、糖尿病用薬のうち自動車運転等の禁止等の記載がない医薬品について、薬理作用に基づき自動車運転等に関する注意喚起の必要性を検討し、専門委員の意見もふまえた調査の結果、改訂することが適切と判断したという。

成分名該当商品名
(承認取得者)
効能・効果
シタグリプチンリン酸塩水和物 ジャヌビア錠12.5mg、
同錠25mg、同錠50mg、
同錠100mg
(MSD)
グラクティブ錠12.5mg、同錠25mg、同錠50mg、同錠100mg
(小野薬品工業)
2型糖尿病
ただし、下記のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限る
①食事療法、運動療法のみ
②食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用
③食事療法、運動療法に加えてチアゾリジン系薬剤を使用
④食事療法、運動療法に加えてビグアナイド系薬剤を使用
⑤食事療法、運動療法に加えてα-グルコシダーゼ阻害剤を使用
⑥食事療法、運動療法に加えてインスリン製剤を使用
アログリプチン安息香酸塩 ネシーナ錠6.25mg、同錠12.5mg、同錠25mg
(武田薬品工業)
2型糖尿病
ただし、下記のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限る。
①食事療法、運動療法のみ
②食事療法、運動療法に加えてα-グルコシダーゼ阻害剤を使用
③食事療法、運動療法に加えてチアゾリジン系薬剤を使用
④食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア系薬剤を使用
⑤食事療法、運動療法に加えてビグアナイド系薬剤を使用
アログリプチン安息香酸塩・ピオグリタゾン塩酸塩 リオベル配合錠LD、同配合錠HD
(武田薬品工業)
2型糖尿病
ただし、アログリプチン安息香酸塩及びピオグリタゾン塩酸塩の併用による治療が適切と判断される場合に限る。
リナグリプチン トラゼンタ錠5mg
(日本ベーリンガーインゲルハイム)
2型糖尿病
アナグリプチン スイニー錠100mg
(三和化学研究所)
2型糖尿病
ただし、下記のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限る
①食事療法、運動療法のみ
②食事療法、運動療法に加えてα-グルコシダーゼ阻害剤を使用
③食事療法、運動療法に加えてビグアナイド系薬剤を使用
④食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用
⑤食事療法、運動療法に加えてチアゾリジン系薬剤を使用
サキサグリプチン水和物 オングリザ錠2.5mg、同錠5mg
(協和発酵キリン)
2型糖尿病
リラグルチド
(遺伝子組換え)
ビクトーザ皮下注18mg
(ノボ ノルディスク ファーマ)
2型糖尿病
ただし、下記のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限る。
①食事療法、運動療法のみ
②食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用
リキシセナチド リキスミア皮下注300μg
(サノフィ)
2型糖尿病
ただし、下記のいずれかの治療で十分な効果が得られない場合に限る。
①食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア剤(ビグアナイド系薬剤との併用を含む)を使用
②食事療法、運動療法に加えて持効型溶解インスリンまたは中間型インスリン製剤(スルホニルウレア剤との併用を含む)を使用
アカルボース グルコバイ錠50mg、同錠100mg
(バイエル薬品)他
糖尿病の食後過血糖の改善(ただし、食事療法・運動療法によっても十分な血糖コントロールが得られない場合、又は食事療法・運動療法に加えて経口血糖降下薬若しくはインスリン製剤を使用している患者で十分な血糖コントロールが得られない場合に限る)。
ボグリボース ベイスン錠0.2、同錠0.3
(武田薬品工業)他
○糖尿病の食後過血糖の改善
(ただし、食事療法・運動療法を行っている患者で十分な効果が得られない場合、又は食事療法・運動療法に加えて経口血糖降下剤若しくはインスリン製剤を使用している患者で十分な効果が得られない場合に限る)
○耐糖能異常における2型糖尿病の発症抑制(錠0.2のみ)
(ただし、食事療法・運動療法を十分に行っても改善されない場合に限る)
ミグリトール セイブル錠25mg、同錠50mg、同錠75mg
(三和化学研究所)
糖尿病の食後過血糖の改善
(ただし、食事療法・運動療法を行っている患者で十分な効果が得られない場合、又は食事療法・運動療法に加えてスルホニルウレア剤、ビグアナイド系薬剤若しくはインスリン製剤を使用している患者で十分な効果が得られない場合に限る)
ピオグリタゾン塩酸塩 アクトス錠15、同錠30
(武田薬品工業)他
2型糖尿病
ただし、下記のいずれかの治療で十分な効果が得られずインスリン抵抗性が推定される場合に限る。
(1)①食事療法、運動療法のみ
②食事療法、運動療法に加えてスルホニルウレア剤を使用
③食事療法、運動療法に加えて α-グルコシダーゼ阻害剤を使用
④食事療法、運動療法に加えてビグアナイド系薬剤を使用
(2)食事療法、運動療法に加えてインスリン製剤を使用

使用上の注意の改訂指示(医薬品医療機器総合機構)

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