インクレチン関連薬と膵疾患に関する声明を発表 ADAなど3団体

 米国糖尿病学会(ADA)は6月28日、欧州糖尿病学会(EASD)、国際糖尿病連合(IDF)と合同で、インクレチン関連薬と膵疾患に関する声明を発表した。

 GLP-1受容体作動薬やDPP-4阻害薬を、単剤、またはメトホルミン、インスリンなどの他の治療薬と併用するインクレチン療法は、糖尿病管理を改善し、体重減少を促進する。臨床試験では、SU薬やチアゾリジン薬、持効型溶解インスリンとの比較においても、有効性は確認済みだ。

 しかし、最近の疫学試験では、インクレチン関連薬と膵炎から膵がんに至る膵臓の変化との関連性が懸念されている。医学誌「ブリティッシュ メディカル ジャーナル」に発表されたインクレチン療法との膵がんとの関連を示唆した動物試験などの結果は、英国のドキュメンタリー番組でも報道され話題になった。

 米国糖尿病学会(ADA)、欧州糖尿病学会(EASD)、国際糖尿病連合(IDF)は共同で、「現行の治療勧告を変更するにあたり、現時点では情報が不十分です。患者は医師に相談することなく、服薬を中止すべきでなく、医師も、確立された治療を維持するか変更するかは、患者の治療反応や有害事象をみながら検討すべきです。また、患者が安全で効果的な治療を受けられることを保証するべきです」とコメントを発表した。

 インクレチン療法の安全性に関する検証は徹底して行われている。米食品医薬品局(FDA)は心血管疾患の転帰を検討する試験を義務付けており、被験者8万人以上を登録した試験が進行中で、データ安全性モニタリング委員会が詳細な安全性レビューを行っている。

 これまでのところ、インクレチン療法と膵炎と膵がんの関連を示す結果は得られていない。終了したSavor試験の主要所見では、有害転帰はないことが示唆された。米国国立衛生研究所(NIH)の6月のワークショップでは、糖尿病と膵癌との疫学的関連性がレビューされ、糖尿病により悪性腫瘍のリスクが約82%増加することが示されたが、治療法に関係ないことがあきらかになっている。

 FDAは、販売品および開発中の全てのインクレチン製剤の申請資料などから、ヒトを対象とした前臨床の病理学データを徹底的に見直したが、膵疾患の懸念は示されなかった。

 「これらの薬剤を使った治療を続けている、あるいは開始しようと考えている患者が、最良の治療を選択するために、現在知られている治療効果と潜在的なリスクについての情報を医療提供者と共有することが望まれます」と、米国糖尿病学会(ADA)の医科学部長のロバート ラトナー氏は述べている。

ADA/EASD/IDF Statement Concerning the Use of Incretin Therapy and Pancreatic Disease(米国糖尿病学会 2013年6月28日)

[Terahata]
編集部注:
  • 海外での研究を扱ったニュース記事には、国内での承認内容とは異なる薬剤の成績が含まれています。
  • 2012年4月からヘモグロビンA1c(HbA1c)は以前の「JDS値」に0.4を足した「NGSP値」で表わすようになりました。過去の記事は、この変更に未対応の部分があります。ご留意ください。
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