DPP-4阻害薬とコレステロール低下薬の配合剤が米国で承認

2011.10.20
 米国食品医薬品局(FDA)は、2型糖尿病治療薬であるDPP-4阻害薬「シタグリプチン」(商品名:ジャヌビア)と、脂質異常症治療薬である「シンバスタチン」の配合剤「ジュビシンク(Juvisync)」を承認したと発表した。

 FDAによると、米国の2型糖尿病有病数は約2000万人で、そのうち多くは高コレステロール血症を合併している。適正な治療を行わないでいると、心疾患、脳卒中、腎症、視覚障害など慢性疾患を発症するリスクが上昇する。

 DPP-4阻害薬であるシタグリプチンは、糖濃度に依存してインスリン分泌を促すインクレチンの分解酵素であるDPP-4を阻害し、インクレチンの作用を促進する薬剤。シンバスタチンは、肝臓でのコレステロール生合成を低下させ、LDLコレステロールを低下させるHMG-CoA還元酵素抑制薬(スタチン)。

 「2型糖尿病治療薬とコレステロール降下薬の配合剤が承認されるのは初めてのことだ。この配合剤の安全で有効な使用を確保するために、薬剤の固定用量を変えた組み合わせが開発されており、個々の患者で異なる必要量に合わせられるようになっている。患者が服用している他剤についても、的確な選択がされるべきだ」とFDA薬剤評価調査センター代謝内分泌科学製品部門長のMary H. Parks氏は話す。

 承認されたジュビシンクには、シタグリプチン100mgに、シンバスタチンを10mg、20mg、または40mg配合した3種類がある。製造元のMSD International GmbH(アイルランド)は、シタグリプチン50mgにシンバスタチン10mg、20mg、40mgを組み合わせた配合剤の発売も予定している。「シタグリプチン50mgの服用を要する患者は、50mg配合剤が発売されるまでは、これまで通りシタグリプチン単剤を使用するべきだ」とFDAは明記している。

 米国ではシンバスタチンは、横紋筋融解症のおそれがあるので、投与量が80mgを超えないよう制限されている。さらに、シンバスタチン5mgを配合した合剤の開発は予定されていない。またFDAには、スタチンが2型糖尿病患者の血糖レベルを上昇させるおれがあるとの症例が報告がされたが、この危険性は小さいので、糖尿病患者の心疾患リスクを低下させる点でスタチンの有益性は重要としている。

 ジュビシンクの一般的な副作用は、上気道感染、鼻水・鼻づまり、咽喉痛、頭痛、筋肉痛、腹痛、便秘、嘔気など。

FDA approves combination therapy Juvisync(米国食品医薬品局 2011年10月7日)

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