【新型コロナウイルス】COVID-19治療効果を見込める「アビガン」 国内第3相試験は6月末にも終了

2020.04.09
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中で拡大する中、抗インフルエンザウイルス薬「アビガン」が注目を浴びている。

COVID-19対象の国内臨床第3相試験を開始

 「アビガン錠」(一般名:ファビピラビル)は、すでに国内では抗インフルエンザウイルス薬として承認されている薬剤で、ウイルスのRNAポリメラーゼを選択的に阻害することでウイルスの増殖を防ぐというメカニズムを有している。こうしたメカニズムの特徴から、インフルエンザウイルスと同種のRNAウイルスである新型コロナウイルスに対しても効果が期待され、臨床応用への検討が進んでいる。

 富士フイルム富山化学は3月31日に、COVID-19患者を対象とした「アビガン」の国内臨床第3相試験を開始したと発表。同社は4月9日には、米国でも「アビガン」の臨床第2相試験を開始すると発表。

日本感染症学会が「アビガン」投与例を報告

 日本感染症学会は4月6日、「アビガン」投与により、速やかな症状改善とPCR陰転化を認めた症例を報告した。

 症例は、発熱、倦怠感を主訴とする39歳の男性で、3月19日に画像所見からCOVID-19を疑い、PCR検査を提出。全身状態は保たれており検査結果が判明するまで自宅待機とした。3月21日にPCR陽性を確認し、COVID-19と診断、入院となった。

 初診時SpO2は96%だったが、入院時に90%と急速な低下を認め、呼吸状態が悪化。3月21日にコンパッショネート使用として「アビガン」を、本人同意のもと開始した(21日夕、22日朝に1,800mg内服、22日夕より800mg×2回/日内服)。

 「アビガン」の初回投与後2日で解熱し倦怠感も消失、その後も発熱は認めなかった。4と5病日にPCRを測定し2回陰性を確認。「アビガン」を計6日間投与し、7日目に自宅退院となった。退院直前のCTではsubpleural curvilinear shadowは目立ったが、すりガラス影は軽快傾向だった。

 この症例では「アビガン」投与翌日には速やかな解熱と低酸素血症の改善を認め、投与3日目にはPCRが陰性化した。中国での「アビガン」の成績でもウイルス陰性化までの期間は対照群より有意に短縮しており、ウイルスの早期陰性化に「アビガン」が寄与した可能性は高いとしている。

国内に70万人分の備蓄

 安倍晋三首相は緊急事態宣言を行った4月7日の会見で、アビガンについて120例を超える投与が行われ、症状改善に効果があったと語っている。政府は緊急経済対策として、「アビガン」の200万人分(COVID-19治療薬としては70万人分)の備蓄をしている。

 新型コロナウイルス感染を予防するワクチンの開発には1年ほどの期間が必要とみられており、治療薬として短期間で治癒することを目指した「アビガン」への期待は大きい。

アビガン錠200mg 添付文書 (医薬品医療機器総合機構)
日本感染症学会

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