トレーニング機器「コアトレチェア」を用いた運動 糖尿病の運動療法として有用である可能性

2018.06.01
第61回日本糖尿病学会年次学術集会

 座ってバランスをとるだけで体幹トレーニングができる「コアトレチェア」を用いた運動(コアトレ運動)は、糖代謝に歩行と同等の急性効果を及ぼすことが示された。「コアトレ運動」は、糖尿病の運動療法として有用であることが示唆された。

コアトレ運動30分は歩行30分とほぼ同等の運動効果

 糖尿病の運動療法として、有酸素運動やレジスタンストレーニングが有用だが、運動に対する抵抗感や、整形外科学的疾患などにより運動を継続するのが難しい症例は少なくない。近年、この課題に取り組む運動機器が開発されている。

 パナソニックの「コアトレチェア」は、体幹を効果的に鍛えることを目的の開発されたフィットネスマシン。同社は、乗馬フィットネス機器「ジョーバ」(現在は生産終了)を手がけており、「コアトレチェア」はジョーバをベースに、よりトレーニング力を向上させ、使いやすいものへと進化したもの。

 チェア型の本体にモータやエアバッグなどを搭載し、座ってバランスをとるだけで体幹を効果的に鍛えられる。パナソニックは「コアトレチェア」(EU-JC70)を2017年2月に発売した。

 研究は、愛知学院大学心身科学部健康栄養学科の宇野智子教授、愛知みずほ大学の佐藤祐造氏教授などによるもので、第61回日本糖尿病学会年次学術集会で発表された。

 他動式体幹運動機器(コアトレチェア)を用いた運動が糖代謝に及ぼす急性効果についての検討を目的に、グルコースクランプ法にて検証された。

 対象となったのは健常者6名(年齢22±1歳、BMI20.8±2.5)。グルコースクランプ法を安静、コアトレ運動、回復で各30分間実施し、グルコース注入量(GIR)を求めた。また、トレッドミル運動(70m/分)を実施しGIRを比較した。GIRの比較は対応のあるT検定で行った。

 その結果、GIR(mg/kg/min)は安静5.8±1.7、コアトレ運動8.7±1.8へ増大し(P<0.01)、回復6.7±1.8と言う結果となった。対照となったトレッドミルでは、安静5.8±1.5、歩行8.9±2.0へと増大し(P<0.01)、回復7.0±1.6だった。

 コアトレ運動30分は歩行30分とほぼ同等の運動効果であることが示された。コアトレ運動では坐位において深層筋の他動的運動負荷を行うことにより、深層筋の筋収縮が誘発され、これによって、筋におけるエネルギー需要が高まり、糖代謝の亢進がもたらされたと推察される。

 「コアトレ運動は、糖尿病の運動療法として有用である可能性が示唆された」と、宇野氏は述べている。

コアトレチェア(パナソニック)

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