高血糖による血管炎症が引き起こされる分子メカニズムと糖尿病性血管合併症の制御につながる新規標的因子を発見 兵庫医大

 兵庫医科大学は、高血糖による血管炎症が引き起こされる分子メカニズムと糖尿病性血管合併症の制御につながる新たな標的因子を発見したと発表した。
高血糖による血管炎症の分子機序を明らかに
 糖尿病患者の予後には、心筋梗塞、脳梗塞などの血管合併症が深く関与する。患者の血管内皮機能は障害されており、その機序に高血糖が関わることが知られている。

 研究グループは今回の研究で、高血糖による細胞障害(糖毒性)に関わる血管内皮の受容体RAGE(receptor for advanced glycation endproducts)が血管内皮の炎症を惹起し、またその炎症はRAGEの切断が誘導されるネガティブフィードバック系が存在すること、さらにその分子機序をはじめてを明らかにした。

 研究は、兵庫医科大学糖尿病・内分泌・代謝内科の小山英則主任教授、三好晶雄氏らの研究グループによるもので、詳細は「FASEB Journal」に掲載された。
高血糖により障害される血管内皮機能
 研究グループこれまでには、高血糖による細胞障害(糖毒性)にかかわる受容体RAGEが、動脈硬化、メタボリックシンドローム、心血管系予後に関与することを明らかにしてきた。

 今回の研究では、RAGEの血管内皮の炎症への影響と、炎症によるRAGE切断(shedding)のフィードバック調節の存在とその機序を世界ではじめて明らかにした。

 アデノウイルスを用いた血管内皮へのRAGEの過剰発現により、炎症性サイトカイン(TNF-α)による炎症シグナルが亢進し、炎症機転が増幅された。その一方、血管内皮特異的にRAGEを過剰発現したトランスジェニックマウスにおいて、TNF-αなどによる炎症誘導は、RAGEの切断(shedding)を誘導した。
高血糖と炎症の悪循環にブレーキをかける仕組みを発見
 TNF-αによるRAGE sheddingはJNK活性化によるマトリックスメタロプロテナーゼ(MMP)9と、小胞体ストレスにかかわるATF4によるADAMの10誘導により引き起こされることが明らかになった。

 これらの結果から、持続する高血糖刺激が血管炎症を惹起し血管合併症発症に関与すること、さらに血管の炎症増幅がRAGE切断・放出により高血糖と炎症の悪循環にブレーキをかける仕組みが存在することを示している。

 研究グループは「高血糖による血管炎症が惹起される分子機序、さらに糖尿病性血管合併症の制御につながる新たな標的因子を見出すことができた。今後、糖尿病性血管合併症の予防法開発に寄与するものと期待している」と述べている。

兵庫医科大学 内科学 糖尿病・内分泌・代謝内科
JNK and ATF4 as two important platforms for tumor necrosis factor-α-stimulated shedding of receptor for advanced glycation endproducts(FASEB Journal 2018年11月19日)
[Terahata]

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