健康食の新しい認証制度「スマートミール」を開始 糖尿病学会・肥満学会など7学会が参加

2018.03.20
 2型糖尿病や肥満などの生活習慣病に対策するための、バランスの良い健康な食事「スマートミール」を提供する飲食店や事業所を認証する制度が2018年度から新たに始まる。日本栄養改善学会などが、東京・駒込の女子栄養大学で3月に発表した。

「スマートミール」で健康なメニューを認証

 「健康な食事・食環境」コンソーシアムは、日本栄養改善学会・日本給食経営管理学会・日本高血圧学会・日本糖尿病学会・日本肥満学会・日本公衆衛生学会・健康経営研究会の7学協会で構成されている。

 「スマートミール」とは、健康に資する要素を含む栄養バランスのとれた食事の通称。「健康な食事・食環境」コンソーシアムが審査・認証した店舗や事業所で提供される。同コンソーシアムが昨年、「健康な食事」の通称を募集し選定を行った結果、「スマートミール」(Smart Meal)と決定した。

 今年4月から応募受付を開始し、9月の第65回日本栄養改善学会学術総会で第1回認証式を行う。それに先立ち、「スマートミール」の通称を用い、東京の飲食店や事業所給食で先行実施を行うという。先行実施の様子などを、「ぐるなび」などの協力を得てメディアでも発信する。

 「健康寿命を伸ばすには、一人ひとりが生活習慣を改善するのに加え、健康的な職場づくりや社会環境づくりが重要。この認証制度を、企業などが進める健康経営を食生活の面から応援する制度として活用してほしい」と、日本栄養改善学会の武見ゆかり理事長は言う。

「スマートミール」の構成と基準

 「スマートミール」の基準は、厚生労働省の「生活習慣病予防その他の健康増進を目的として提供する食事の目安」(2015年)や「食事摂取基準2015年版」を基本とし、さらに給食会社4社の実際のヘルシーメニューの献立分析を行って決定したという。

 「スマートミール」の料理・食品の構成は以下の通り――

1. エネルギー量は、▼1食当り450~650kcal未満(通称「ちゃんと」)と、▼650~850kcal(通称 「しっかり」)の2段階とする。

2. 料理の組み合わせの目安は、(1)「主食+主菜+副菜」パターン、(2)「主食+副食(主菜、副菜)」パターンの2パターンを基本とする。

3. PFC(タンパク質・脂質・炭水化物)バランスが、食事摂取基準2015年版に示された、18歳以上のエネルギー産生栄養素バランスの範囲に入ることとする。
1食の総エネルギーに占める割合:タンパク質13~20%、脂質20~30%、炭水化物50~65%

4. 食塩相当量は、「ちゃんと」3.0g未満、「しっかり」3.5g未満とする。

5. 牛乳・乳製品、果物は、基準を設定しないが、適宜取り入れることが望ましい。

6. 特定の保健の用途に資することを目的とした食品や素材を使用しないこと。
 基準に合った食事の提供のほか、▼必要な栄養情報などを、店内、カタログ、注文サイトなどのメニュー選択時に分かるよう提供している、▼管理栄養士・栄養士が作成・確認に関与している、▼店内禁煙である――などが必須条件となる。

 こうした認証に必須の項目のほか、▼主食に精製度の低い穀類を提供していることがメニューの選択時にわかる、▼週3日以上魚を提供している、▼週3日以上大豆・大豆製品を提供している、▼栄養成分表示をしている、▼栄養成分表示に飽和脂肪酸の量を示している、▼野菜70g以上のメニューを提供しているなど、多数のオプション項目を設けており、クリアしている項目数に応じて☆印が表示できるようにしている。
 記者発表会では、スマートミールの試食会も行われた。「しっかり」は、「鮭の西京味噌焼き」「かぶの鶏あんかけ」「小松菜の白和え」「のっぺ汁」「胚芽米ごはん」のメニューで740kcal。「ちゃんと」は「豚ヒレ肉のソテー ロベール風」「人参サラダ」「かぶのミルク煮」「胚芽米ごはん」で644kcalだった。

 「栄養バランスの良い食事の選択をしやすい環境を整えることで、生活習慣病予防、高齢期のフレイル予防につなげ、日本人の健康寿命の延伸に寄与することが狙い。全国で認証店舗が広がり、健康づくりを考えるきっかけになってほしい」と、武見ゆかり理事長は話している。

健康な食事(スマートミール) 「健康な食事・食環境」認証制度

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