初のSGLT2阻害薬「カナグリフロジン」を承認 米FDA

 米食品医薬品局(FDA)は4月、成人2型糖尿病の血糖コントロールを目的に、食事療法および運動療法と併用して使用する薬剤「カナグリフロジン」(商品名:Invokana)を承認した。同薬は米国ではじめて承認されるナトリウム-グルコース共輸送体(SGLT)2阻害薬となる。
SGLT2阻害薬は腎臓によるブドウ糖の再吸収を阻害
 米国では2型糖尿病は糖尿病症例の90%以上を占め、患者は約2,400万人に上る。高血糖が長期間続くと、心疾患や失明、神経障害、腎障害などの重度合併症リスクを上昇させる可能性がある。

 「カナグリフロジンはSGLT2阻害薬と呼ばれる、米国ではじめて承認された新しいクラスの糖尿病治療薬です。糖尿病公衆衛生上の影響は大きい。われわれは新しい薬剤を承認することで、治療選択肢を増やし、薬剤のイノベーションを推進していきます」と、FDA医薬品評価研究センター代謝・内分泌製剤部門のディレクターであるメアリー パークスは述べている。

 カナグリフロジンは腎臓からのブドウ糖の再吸収を阻害することで、ブドウ糖の排出を増やし、高血糖の糖尿病患者の血糖値を低下させる作用をもつ。

 同薬の安全性と有効性は、計1万285例の2型糖尿病患者を対象とした9件の臨床試験で評価された。これらの試験では、カナグリフロジン単剤、あるいはメトホルミンやピオグリタゾン、インスリンなどとの併用で効果が検討された。

 その結果、カナグリフロジン単剤、あるいはメトホルミンやピオグリタゾンとの併用による低血糖発現は5%以下に抑えられた。減量と収縮期血圧改善の効果も報告されている。

 FDAは、カナグリフロジンは1型糖尿病治療薬として使用すべきではないとしている。また、血中や尿中のケトン体が増加している糖尿病性ケトアシドーシス患者、重度腎障害や末期腎不全の患者、透析中の患者には使用できない。

 有害事象としては、外陰部膣カンジダ症、尿路感染症がもっとも多くみられた。これらの有害事象は概して軽度〜中等度であった。利尿効果があることから、起立性低血圧に伴うめまいも報告されている。

 FDAはカナグリフロジンについて5件の市販後調査の実施を要請している。調査には、(1)心血管予後に関する臨床試験、(2)悪性新生物、膵炎、重度の過敏反応、光過敏症の反応、肝機能異常、妊娠中の有害事象に関する安全性監視プログラムの拡張、(3)骨関連有害事象に関する試験、(4)小児科研究均等法(PREA)を基にした適応拡大を検討するための有効性・安全性試験――が含まれる。

 カナグリフロジン(Invokana)は、米国ではJanssen Pharmaceuticals社が製造している。 日本では田辺三菱製薬が、日本とアジアの一部を除く地域における開発権と販売権を取得している。

FDA approves Invokana to treat type 2 diabetes First in a new class of diabetes drugs(米食品医薬品局 2013年3月29日)

[Terahata]

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編集部注:
  • 海外での研究を扱ったニュース記事には、国内での承認内容とは異なる薬剤の成績が含まれています。
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