厳格な血圧管理で心血管イベントと全死亡が減少

2021.06.09
 血圧管理の強化により、主要心血管イベントや死亡リスクが抑制される一方、低血圧や急性腎障害、失神などの有害事象が増加するというデータが報告された。厳格な血圧管理の有用性を検討していた大規模研究「SPRINT」の最終報告であり、米アラバマ大学バーミンガム校のCora E. Lewis氏らによる論文が、「The New England Journal of Medicine」に5月20日掲載された。

 SPRINTは、心血管疾患ハイリスク者9,361人を、収縮期血圧120mmHg未満を目標とする管理強化群と140mmHg未満の標準治療群とに分け、主要心血管イベント(心筋梗塞、心筋梗塞以外の急性冠症候群、脳卒中、急性非代償性心不全、心血管死)や全死亡の発生率を比較した研究。糖尿病患者や脳卒中既往者は登録対象から除外されていた。

 中央値3.33年における主要心血管イベントおよび全死亡の発生率は、管理強化群の方が標準治療群よりも有意に低かった。具体的には、主要心血管イベントの発生率は、管理強化群が1.77%/年に対し標準療法群は2.40%/年で、ハザード比(HR)0.73(95%信頼区間0.63~0.86)であり、全死亡は同順に1.06%/年、1.41%/年、HR0.75(同0.61~0.92)だった。一方、管理強化群では、低血圧、電解質異常、急性腎障害、失神の発生率が有意に高かった。

 2015年8月20日の介入期間終了後2016年7月29日まで観察し、その間に発生したイベントも含めた解析結果も(追跡期間中央値3.88年)、有害事象の発生状況も含めて同様の傾向が見られた〔主要心血管イベントについてはHR0.76(95%信頼区間0.65~0.88)、全死亡はHR0.79(同0.66~0.94)〕。ただし、心不全の発生率は群間差が有意でなくなった。なお、介入終了時点の平均収縮期血圧は、管理強化群が120.0mmHg、標準療法群は133.9mmHgだったものが、観察期間終了時にはそれぞれ6.9mmHg、2.6mmHg上昇していた。

 この結果を著者らは、「心血管疾患リスクが高い患者では、収縮期血圧を120mmHg未満に設定すると、140mmHg未満に設定した場合に比較して主要心血管イベントと全死亡のリスクが低下した。一方で有害事象の発生率は、厳格に管理した群で高かった」と結論付けている。また、「介入終了後の観察期間中に血圧の群間差が縮小し、管理強化群では介入期間よりも心不全が増加した」と付け加えている。

 なお、本研究に用いられたアジルサルタンおよびアジルサルタンとクロルタリドンの合剤は、タケダファーマシューティカルズインターナショナルとアーバーファーマシューティカルズから提供された。ただし、両社ともに結果解析へは関与していない。

[HealthDay News 2021年5月20日]

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