DPP-4阻害薬が糖尿病患者のアルツハイマー型認知症を抑制する可能性

2021.08.26
DPP-4iが糖尿病患者の認知症を抑制する可能性
 DPP-4阻害薬(DPP-4i)が、糖尿病に伴うアルツハイマー型認知症に対して保護的に作用することを示唆するデータが報告された。脳画像検査や認知機能検査の結果に、DPP-4i処方の有無で有意差が認められたという。延世大学校(韓国)のSeong Ho Jeong氏らの研究によるもので、詳細は「Neurology」に8月11日掲載された。

 糖尿病はアルツハイマー型認知症のリスク因子として知られている。糖尿病患者のアルツハイマー型認知症に対して、DPP-4iが認知機能の低下を抑制する可能性を示す研究結果が報告されているが、いまだエビデンスは十分でない。今回Ho Jeong氏らは、脳画像検査によるアミロイド負荷の評価も含め、DPP-4iが糖尿病に伴うアルツハイマー病関連認知機能障害(alzheimer’s disease-related cognitive impairment;ADCI)に対して有益な効果をもたらすかどうかを検討した。

 研究の対象は、フロルベタピル(F-18)を用いた陽電子放出断層撮影(PET)検査が施行された282人のADCI症例。DPP-4iが処方されている糖尿病ADCI患者70人(DPP-4i+群)、DPP-4iが処方されていない糖尿病ADCI患者71人(DPP-4i-群)、非糖尿病ADCI患者141人(対照群)という3群に群分け。PETで評価したアミロイド負荷量を検討するとともに、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコアの変化を縦断的に解析した。

 年齢、性別、教育歴、認知症の病期、ApoE4アレルの有無で調整後に脳全体のアミロイド負荷を比較すると、DPP-4i+群はDPP-4i-群(β=0.075、P=0.002)や対照群(β=0.054、P=0.010)より有意に低かった。また、側頭頭頂領域の局所アミロイド負荷も、DPP-4i-群や対照群に比較しDPP-4i+群の方が低かった。

 さらに、MMSEスコアの経時的な変化をDPP-4i+群とDPP-4i-群で比較すると、DPP-4i+群の方がスコア低下速度が有意に遅いことが分かった(β=0.772、P=0.005)。MMSEの記憶想起サブスコアの低下速度にも有意差が認められた(β=0.291、P=0.012)。

 これらの結果はDPP-4iの使用が、糖尿病を伴うADCI患者のアミロイド負荷が少ないこと、および良好な認知機能の長期アウトカムに関連していることを示唆している。また著者らは、「われわれの研究は、血糖管理のためにDPP-4iを服用している患者は、脳全体のアミロイド負荷が少ないことを示しただけでなく、アルツハイマー病と関連する脳領域のアミロイド負荷も低いことを示した」と研究意義を強調している。

[HealthDay News 2021年8月12日]

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