テプリズマブが1型糖尿病の発症を遅延 発症高リスク患者の膵β細胞機能を改善

テプリズマブは1型糖尿病の発症を遅延させる
 Teplizumab(テプリズマブ)が1型糖尿病の発症高リスク状態にある人の膵β細胞機能を改善し、1型糖尿病発症を遅延させることを示したデータが報告された。同薬を14日間投与するという1コースの治療で、その効果が認められたという。米インディアナ大学のEmily K. Sims氏らの研究によるもので、詳細は「Science Translational Medicine」に3月3日掲載された。

 Sims氏らは、近親者に1型糖尿病患者がいてハイリスクであるものの1型糖尿病未発症の被験者を対象とする、プラセボ対照ランダム化比較試験を実施。テプリズマブまたはプラセボを14日間投与し、その後の膵β細胞機能の変化、および1型糖尿病の発症率を比較検討した。本報告は、923日(中央値)追跡した時点の結果をまとめたもの。

 本報告における追跡終了時点まで1型糖尿病未発症だったのは、プラセボ群22%、テプリズマブ群50%であり、発症ハザード比は0.457(P=0.01)とリスクが半減していた。また、テプリズマブまたはプラセボの投与から1型糖尿病発症までの期間の中央値は、プラセボ群の27.1ヵ月に対し、テプリズマブ群は59.6ヵ月だった。

 テプリズマブ群では膵β細胞機能の改善も認められた。具体的には、研究登録時点のインスリン分泌能はテプリズマブ群の方が低かったが、追跡期間中に逆転。その後もプラセボ群では分泌能の低下が続いたのに対し、テプリズマブ群では安定していた。C-ペプチドの曲線下面積(AUC)の平均値は、プラセボ群の1.72pmol/mLに対してテプリズマブ群は1.94pmol/mLであり、年齢とベースライン時の値で調整後も両群間に有意差が認められた(P=0.006)。なお、テプリズマブまたはプラセボ投与後のプロインスリン/C-ペプチド比は、両群間に有意差がなかった。

 著者らは、「1型糖尿病を発症する可能性の高い子どもたちが、未発症のまま成長していくことは、非常に重要なことだ」と述べている。

 なお、一部の著者は、テプリズマブを開発中のProvention Bio社との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

[HealthDay News 2021年3月12日]

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