週1回投与のGLP-1受容体作動薬「セマグルチド」の肥満患者での治療効果 68週間の治療で有意な体重減少を達成・維持 ENDO2021で発表

 生活習慣の介入とあわせてセマグルチド2.4mgを投与した治療群は、プラセボ群と比較して、臨床的に意義のある体重減少が得られ、体重の再増加がみられないことを示したSTEP4試験の結果が、2021年バーチャル米国内分泌学会議(ENDO2021)で発表された。
セマグルチド2.4mgの週1回投与による体重変化などを比較した68週間の第3相試験
 セマグルチドは週1回投与のGLP-1ホルモンのアナログ製剤で、生体内で分泌されるヒトGLP-1分子と94%類似している。同剤は空腹感を軽減し、満腹感を高めることで、食事の量を減らし、食欲を抑える。

 STEP4試験は、セマグルチド2.4mgの週1回皮下投与群の体重の変化に対する安全性および有効性をプラセボ群と比較する68週間の無作為割り付け、二重盲検、多施設共同、プラセボ対照の第3a相試験。

 この試験では、肥満(BMI30)または体重に関連した合併症が1つ以上あり、2型糖尿病ではない(HbA1c<6.5%)過体重(BMI 27)の成人を対象に、セマグルチド2.4mgの投与による継続治療の効果を、同投与を中止した場合と比較して評価した。

 20週間の観察期間中(0週~20週)は、生活習慣の介入(-500kcal/日の食事、150分/週の身体活動)に加えて、全被験者にセマグルチドを投与(16週間の用量漸増期間およびそれに引き続く4週間の目標用量での投与期間)した。

 観察期間終了時点で、セマグルチドの維持用量(2.4mg)に到達した803名において、平均体重が107.2kg(0週時)から96.1kg(20週時)に減少しており、その後セマグルチド2.4mgの継続またはプラセボへの切替えに2:1の比率で無作為割付けし、さらに48週間(20週~68週)の継続治療を生活習慣の介入とあわせて実施した。

 同試験の主要評価項目は、無作為割り付け(20週)から治療終了(68週)までの体重の変化率。検証的な副次的評価項目は、ウエスト周囲径、収縮期血圧および36項目の健康状態調査票(SF-36)の身体的機能スコアの無作為割り付け(20週)から治療終了(68週)までの変化。補足的な副次的評価項目は、ベースライン(0週)から治療終了(68週)までの体重の変化率。
セマグルチド2.4mgが68週間の継続治療後に17%以上の体重減少を維持できる可能性 体重減少を維持するには継続治療が重要
 STEP第3a相臨床試験プログラムの新たな結果において、セマグルチド2.4mgを週1回皮下投与した治療群ではプラセボ群と比較して体重減少が認められた。

 STEP4試験では、20週間の観察期間中に維持用量であるセマグルチド2.4mgに到達した被験者を、セマグルチド2.4mgの継続、またはプラセボに切替えのいずれかに無作為に割り付け、さらに48週間治療した。

 20週間の観察期間後に、セマグルチド2.4mgを投与した48週間の継続治療群では、20週時から68週時までにさらに平均7.9%*1の体重減少が認められ、プラセボ群と比較して統計的に有意な差が示された(治験薬estimand解析*2では8.8%)。

 20週間の導入期間後にプラセボに切り替えた治療群では、20週時から68週時までの間に6.9%*1の体重再増加が認められた(治験薬estimand解析*2では6.5%)。

 治療方針estimand解析による推定治療群間差の推定値[ETD]は-14.8%(95%信頼区間[CI]:-16.0、-13.5、p<0.0001)だった)。68週間の試験期間を通じてセマグルチド2.4mgの投与による継続治療群では、合計17.4%*1の体重減少が達成された(治験薬estimand解析*2では18.2%)。

*1 治療方針estimand(主要な統計解析アプローチ)による評価:治療へのアドヒアランスまたは他の肥満治療の開始の有無に関わらず治療効果を評価
*2 治験薬estimand(副次的な統計解析アプローチ)による評価:すべての被験者が治療へのアドヒアランスが良好、かつ他の肥満治療を開始しなかった場合の治療効果を評価

 なお、両治療群とも試験期間を通じて低カロリー食を摂取し、身体活動増加プログラムを実施していた。

 セマグルチド2.4mgの安全性プロファイルは、これまでにGLP-1受容体作動薬で認められているプロファイルと同様だった。セマグルチド2.4mgの忍容性はおおむね良好で、主な有害事象は消化器症状。

 このSTEP4試験の完全な結果は、2021年バーチャル米国内分泌学会議(ENDO2021)で発表され、「Journal of the American Medical Association」に掲載された。
肥満は薬物療法だけでなく生活習慣も含めた長期的かつ個人別の治療アプローチが必要
 STEP4試験の治験責任医師であるワシントン体重管理研究センター所長のDomenica Rubino氏は次のように述べている。
 「肥満患者さんにとって、体重減少を長期的に維持することは困難です。これは、最初に体重が減少した後で生じる生理学的変化とホルモンの変化の双方により体重が再増加することがあるためです。これらの変化は代謝的適応と呼ばれ、エネルギー消費を減らす一方、空腹感の増大や強い食欲の持続を招きます。他の慢性疾患と同様、肥満は薬物療法だけでなく生活習慣も含めた長期的かつ個人別の治療アプローチを必要とする疾患です」。

 STEP(Semaglutide Treatment Effect in People with obesity:肥満患者におけるセマグルチドの治療効果)は、肥満患者を対象としたセマグルチド2.4mgの週1回皮下投与による第3相臨床開発プログラム。グローバル第3a相臨床プログラムは、過体重または肥満の成人約4,500名を登録した4つの試験で構成されている。

 なお、セマグルチド2.4mgの週1回皮下投与は、長期的な体重管理法として検討中であり、肥満への適応は、日本を含めまだ承認されていない。現在、米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)をはじめ、複数国の規制当局により審査中としている。

ノボ ノルディスク ファーマ

Effect of Continued Weekly Subcutaneous Semaglutide vs Placebo on Weight Loss Maintenance in Adults With Overweight or Obesity: The STEP 4 Randomized Clinical Trial(Journal of the American Medical Association 2021年3月23日)

セマグルチド(遺伝子組換え) 添付文書 (医薬品医療機器総合機構)

[Terahata]

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